6月8日、プロ野球オールスターゲームのファン投票・中間結果が発表されました。
何とそのセ・リーグ一塁手部門で、巨人・中田翔選手がトップに…。
もちろんまだ中間結果ではありますが、今季も中田選手は決して好調とは言えず、6月6日には出場選手登録が抹消され、今季2度めの二軍落ちとなっています。
それなのにファン投票1位の中間発表。ネット上では
- 最近ロクに試合出てない奴が1位って…
- やっぱ翔さんの人気スゲー
- 何かの組織票でもありました?
など、様々な反応が飛び交っています。
この記事では、登録抹消中の2軍選手である中田翔がこのまま選出された場合オールスター出場は可能なのか、はたまたこんな状況でありながら中田翔が上位に選ばれた理由についても迫ってみようと思います。
もくじ
中田翔、中間結果1位に対する世間の声
何だかんだファンの多い選手であるのは間違いないので、喜びの声が上がる反面、今の成績ではとても出るべきではないとの厳しい声も聞かれます。中には組織票を疑う意見もあるようですが…。
今の状況でも中田翔はオールスター出場可能?
まず中田翔選手が現在置かれた状況でもオールスター出場が可能か否かについて解説していきます。
ズバリ、出場は可能!
結論から言うと、現在の「出場選手登録抹消・2軍」という状況であっても、中田翔選手はオールスター出場が可能です。
野手の場合、オールスターに出場できる条件として
『10試合以上出場または20打席以上』
という規定が設けられています。
(ちなみに投手の場合は、5試合以上登板または10投球回以上)
いくら不調と言えど、この条件はさすがにクリアしている中田選手。
打率や本塁打数など成績は置いといて、オールスターに出場するには何の問題もありません。
中田のオールスター出場は何よりファンが望んでいる!
中田選手のような華のあるスター選手がオールスターに出場することは、何よりファンの願いです。
ファン投票の中間結果1位という状況自体がまさにそれを証明していますが、他にもSNS上で
「#中田翔をオールスターへ連れて行こう」
というハッシュタグが出来あがり、投票が呼びかけられるという現象も生まれています。
中田選手にはやはり表舞台で輝いてほしい!と願うファンは多いようです。
この動きがいわゆる「組織票」と見られる流れを作ってしまっているのは何とも皮肉な話ですが。
何故1位に…?
とは言え、ここまで打率.215、5本塁打と自身もファンも納得のいく成績を残していない中田翔選手。
ファン投票1位はちょっとやり過ぎというか、人気だけで祭り上げられるのは意外な気もします。
何故こんな状況でも中田翔選手が1位になったのでしょうか。
理由①他が外国人選手ばっかり
今季、セ・リーグで一塁手として主に出場している選手は外国人選手ばっかりです。
もともと一塁手は助っ人外国人が務めることが多いポジションではありますが、今季は
- ヤクルト→オスナ
- 阪神→マルテ
- 広島→マクブルーム
- 中日→ビシエド
- DeNA→ソト
と、軒並み外国人選手が名を連ねます。
ファン投票で特に贔屓の球団や選手がいなければ、やはり「日本人選手に投票しよう」と考える人が多いのは間違いありません。
理由②投票サイトのデフォルト設定
オールスターの投票は当然ネット上で行われるケースが多いのですが、この投票サイトでは、ポジション毎に予め各球団から一人ずつデフォルトで選手が選ばれています。
このデフォルト設定が今回の場合
↑こんな感じ。
上記した外国人選手の中に、ただ一人「中田翔」選手が日本人として並んでいます。
この並びなら、深く考えず「中田翔」を選択する人がかなり居るのではないかと思います。
もちろんこのデフォルト設定以外の選手も選ぶことはできますが、そんなに野球に詳しくない人や、巨人の坂本選手さえ選ばれれば他は何でもいい!みたいな女性ファンは、わざわざこの面子以外から選ぶことはしないでしょう。
そうなると必然的に知名度の高い中田選手に票が集まることになります。
理由③他も大して活躍してない
中田選手が不調であるのは間違いないですが、じゃあ他球団の外国人一塁手が目覚ましい活躍をしているかと言うとそうでもありません。
デフォルト設定された中田選手以外の5人の成績は
- オスナ 55試合 打率 .225 本塁打 5 打点 21
- マルテ 18試合 打率 .197 本塁打 1 打点 3
- マクブルーム 55試合 打率 .273 本塁打 6 打点 31
- ビシエド 57試合 打率 .263 本塁打 6 打点 23
- ソト 42試合 打率 .260 本塁打 4 打点 19
- 中田 41試合 打率 .215 本塁打 5 打点 20
ハッキリ言ってどんぐりの背比べです。
人気より実力や成績を重視する!というコアな野球ファンも、他に絶対的な選択肢がない状況なのです。
オールスター・ファン投票あれこれ
オールスターのファン投票は過去にも話題を集めたことがありました。
その一部をここで振り返ってみます。
「川崎祭」
2003年、当時、中日ドラゴンズに所属していた川崎憲次郎投手がファン投票に振り回されました。
川崎投手は2001年のFA移籍で中日入団するも、故障のためそれまで一度も一軍登板がありませんでした。
これを不満に思ったのか、はたまた奮起を促す意味だったのか、野球ファンの間で「川崎をファン投票1位にしよう」という動きがインターネット上で起こったのです。
この流れはあれよあれよと言う間に拡散、何と実際に川崎投手はファン投票1位を獲得してしまったのです。
しかしさすがに川崎投手も中日ドラゴンズもオールスターへの出場辞退を表明。
これを機に翌2004年から、ファン投票選出の基準に出場成績が課されるようになりました。これが先述したオールスター出場の条件です。
まあ今回の「#中田翔をオールスターへ連れて行こう」運動も若干この川崎祭を模倣している感もありますが…
里中智のオールスターデビュー
こちらは現実の話ではなく漫画の中のお話。
故・水島新司先生の『ドカベン』で、プロに入った里中智が、一軍出場ゼロ(どころか二軍ですら登板なし)のままファン投票1位で選出されるというストーリーが展開されました。
そして里中は何とオールスター戦で”プロ初登板”を飾り、松井秀喜と対戦。必殺の『スカイフォーク』で三振に打ち取り、松井を唖然とさせます。
ちなみにこれは1995年のオールスターという設定なので、「川崎祭」後の現行ルールでは里中はオールスターに出場できません。
中田翔なら出場資格は十分?
上記の2人(1人は漫画のキャラですが…)のように、そのシーズンで一軍出場もないのにファン投票で選出される異様さを考えると、中田選手のファン投票1位、そしてオールスター出場は何もおかしなことではないと言えます。
もちろん中田選手には昨年の暴行事件や過去の問題行動など、払拭されないマイナスイメージはあります。
しかしオールスターは『球宴』です。その名の通り、宴のような華やかさがなければいけません。
逆に現在の野球界で、中田選手を上回る華やかさ、スター性を持つ選手なんて数えるほどしかいません。
もし中田選手がオールスターに出場し、それをきっかけにまたあの勝負強いバッティングを取り戻してくれたら…
スタジアムに足を運ぼうというファンもきっと増えるのではないでしょうか。
中田翔、2軍でもオールスター出場は可能!どうせなら堂々とファン投票1位で!
プロ野球オールスター、ファン投票の中間結果で中田選手が1位という異常事態(?)についてあれこれ迫ってきました。
しかし他選手の現状や投票サイトのシステムを考えると、中田選手が1位になるのも頷けるということがお分かりいただけたと思います。
中田選手がこのままオールスターまで2軍であったとしても、その出場自体にはルール上なんの問題もありません。
失礼ながら、よく分からない成績も微妙な外国人選手が出場するより、中田選手が出場した方が絶対に盛り上がります。
『球界を背負って立つ人気者』として、中田選手には堂々とオールスターに出場してほしいものですね。