来年3月に開催される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)。
日本代表には大谷選手やダルビッシュ選手など現役メジャーリーガーの出場も発表されており、大きな期待が集まる栗山ジャパン。そんなチームにさらなる強力な助っ人が参加か!と話題になっています。
それが『ラーズ・ヌートバー選手』。
名前を聞く限りは「え、外人じゃん」と感じる方がほとんどでしょう。そんな選手がなぜ日本代表候補になっているのか…
この記事では、ラーズ・ヌートバー選手の両親や国籍などそのルーツに迫りつつ、その実績や実力についても触れていきたいと思います。
ラーズ・ヌートバー選手に関する世間の声
やはり「誰やねん!」の声が多く飛んでいるようですね。確かに現時点での知名度は低いと言わざるを得ません。
ラーズ・ヌートバー選手とは…
それではラーズ・ヌートバー選手本人について迫っていきます。
カージナルで1番打者を務めるスター候補
ヌートバー選手は現役メジャーリーガーであり、2年目にしてカージナルスのリードオフマンに定着した25歳、期待の若手選手です。
メジャー通算166試合に出場し、打率.231、19本塁打、55打点の成績を残しています。
特筆すべきはOPSの高さ
2022年の成績に限ると、ヌートバー選手は打率.228、14本塁打、40打点。1番打者なので打点がすくないのは仕方ないとして、正直打率や本塁打数は物足りない印象が残ります。
しかしヌートバー選手の特筆すべき点はOPSの高さ。2022年のOPSは.788を記録しています。(OPSって何じゃ?という方は↓のサイトで)
鈴木誠也選手よりも高い!
ヌートバー選手のOPS.788という数字は、今季カブスで活躍した日本の主砲・鈴木誠也選手の数字よりも高いものです(鈴木誠也選手の今季のOPSは.770)。
パワーヒッターの方が数値が上がりやすい傾向があるOPSという指標で鈴木誠也選手を上回っているわけですから、ヌートバー選手は数字以上に打者として期待の持てる存在だということが分かります。
抜群の身体能力
ヌートバー選手の実力を証明するもう一つのポイントとして身体能力の高さがあります。
南カリフォルニア大学の学生新聞「デイリー・トロウジャン」によると、何と彼は高校時代、野球とアメフトの二刀流のスターで、野球では3度リーグMVPに、アメフトではQBとして2度リーグMVPに選出されたというのです。
二刀流といえば大谷選手ですが、野球だけでなく別の競技でもトップクラスの成績を残すというのは並大抵のことではありません。
ヌートバー選手が天才的な身体能力を持っていることは間違いないでしょう。
まだ25歳であることを考えると、今後の成長次第ではメジャーを代表する選手になることも十分考えられます。
ラーズ・ヌートバー
- 出身地:カリフォルニア州ロサンゼルス郡エルセグンド
- 生年月日:1997年9月8日(25歳)
- 身長:190.5 cm体重:95.3 kg
- 投球、打席:右投左打
- ポジション:外野手
ヌートバー選手のプレー動画
ホームラン勢の打球を見事キャッチしたり、キャッチャーへ矢のような返球をしたり、守備でも貢献が期待できそうですね。
ヌートバー選手の国籍や出場資格は?
ここからはヌートバー選手のルーツについて迫っていきます。
母親が日本人の日系2世
ヌートバー選手のご両親は、父親がオランダ系アメリカ人、母親が日本人です。つまりヌートバー選手は日系2世ということになります。
ミドルネームが「テイラー・タツジ」
「ラーズ・ヌートバー」という名前だけを聞くと日本らしさは全く感じられませんが、ヌートバー選手のミドルネームは「テイラー・タツジ」といい、この部分は日本人である母親を称えたものだといいます。
またヌートバー選手自身も
「僕の民族性の大半はお母さん側に由来する」
と話しており、日本という国に対しての思いも強いようです。
整備工としての経験も持つ苦労人
ヌートバー選手は初めからメジャーで活躍するスター選手だったわけではありません。
2020年、まだマイナーリーガーだった彼は、新型コロナの影響でマイナーリーグの試合がすべて中止になるという憂き目に遭います。
若くして野球人生の岐路に立たされる中、彼は「何もしない訳にはいかない」と一念発起。4か月間、航空宇宙産業関連の企業で整備工として週6日、朝4時起きで働きます。
後に
「あれでお尻に火が付いたことは間違いない。(選手になれなければ何が待っているかが分かったことで)よりハングリーになった。現役中にそれを目の当たりにしたことで、すばらしい視点を持てるようになった」
と語っており、その苦労を糧に這い上がった素晴らしい精神力の持ち主でもあります。
こうした苦労話は日本人は大好きですから、ヌートバー選手が日本代表になっても素直に応援できる材料になるかもしれません。
ヌートバー選手の国籍は?
ヌートバー選手が母親が日本人の日系2世で、意外な苦労人であることは分かりましたが、肝心の自身の国籍についてはどうなのでしょう。
本人談では日本人?
ヌートバー選手は地元放送局「KSDK」のニュース番組で自身のルーツについて言及しています。
そこでは
「日本人であることは僕が僕であることの一部。(日本人であることを)誇りに思う。あえて声高にそのことを語ることはないが、それが僕だし、それが母なんだ」
と話しており、これを聞く限り日本国籍を持っていると言えそうです。
二重国籍の可能性が高い
そうは言ってもヌートバー選手はアメリカで生まれアメリカで暮らしている以上、日本国籍だけでは何かと不便を強いられるでしょう。
アメリカは二重国籍が認められている国なので、おそらくはアメリカ国籍も普通に持っていると思われます。
まあメジャーリーグは”外国人枠”がないので、日本国籍だけでもプレーに問題はありませんが。
日本代表として出場は可能?
ヌートバー選手の国籍が日本であれ二重国籍であれ、日本代表としてWBCに出場することに問題はないのでしょうか。
WBCが定める代表基準は…
WBCが定める代表基準は以下の通りです。
- 当該出場国の国籍を有すること
- 当該出場国の永住資格を有すること
- 当該出場国で出生していること
- 本人の両親のどちらかが当該出場国の国籍を有すること
- 本人の両親のどちらかが当該出場国で出生していること
- 当該国の国籍またはパスポートの取得資格があること
となっています。
ヌートバー選手自身の国籍がどうであれ、④の条件を満たしているヌートバー選手は日本代表に名を連ねることが可能です。
選ばれれば注目の存在に!
ヌートバー選手が日本代表に選ばれれば、これは大きな注目を集めることでしょう。
もちろん純血の日本人ではないことに批判の声を挙げる方もいるかもしれませんが、日本という国に誇りを持ち、苦労を乗り越えた「青い目のサムライ」がアメリカをぶっ倒すというシーンも是非見てみたいものです。(そんなこと言ったらダルビッシュだって純血の日本人じゃない)
栗山監督も選出を示唆
WBC日本代表メンバーの選出に関しては栗山監督も
「日本代表になれる資格がある選手がいないか、調べてもらっている」
と語るなど、ヌートバー選手に限らず可能性があることを示唆しています。
野球というスポーツがもっともっと国際的な種目になるよう期待を込めて、栗山監督にはワールドワイドなメンバー選出をお願いしたいです。
ラーズ・ヌートバーは日本代表資格を有した期待のリードオフマン!
WBC日本代表候補のラーズ・ヌートバー選手について迫ってきました。
ヌートバー選手は母親が日本人の日系2世で、日本代表資格をちゃんと有した選手であることがお分かりいただけたと思います。日本への思い入れや誇りも十分持っており、彼がサムライジャパンのリードオフマンとして活躍する姿を是非とも見たいところです。
日本代表が目指すのは世界の頂。
栗山監督には話題性とかスポンサー枠とかに捉われず、「勝つための」メンバー選出をしてほしいと願うばかりです。