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2023年発行

どうなるエスコン駅…日ハムが費用負担?問題の原因は北広島市の予算不足か

北海道北広島市に新設された「エスコンフィールド」で新たな門出を迎えるプロ野球・日本ハムファイターズ。

新たな本拠地は「北海道ボールパークFビレッジ」という名称で、野球場となるエスコンフィールドを含む複合施設として2023年3月14日開業なのですが、ここに来て大きな問題が噴出。

この施設の隣接地には数年後の開業予定でJR千歳線の新駅を建設する工事が進んでいるのですが、その建設費が当初の予定を大幅に上回るというのです。

これにはネット上でも…

  • おいおい、大丈夫かよ
  • エスコン駅どうなっちゃうの?
  • そもそも何でこんなことに…

など、不安の声が聞かれます。

この記事では、日ハムのせっかくの心機一転ムードに水を差す形になっているエスコン駅の状況や今後について、アレコレ迫っていきたいと思います。

エスコン駅問題の現状

それではまず、エスコン駅を取り巻く問題の現状を整理しておきましょう。

2027年度末を目処に建設予定だった

まずもってエスコン駅はエスコンフィールド(北海道ボールパークFビレッジ)の開業に合わせて建設を予定されていたわけではありません。

そもそも「エスコン駅」という名称自体が仮称というか、便宜上そう呼ばれているだけ。正式名称でも何でもなく、開業も2027年度末が予定されています。

なのでシーズンの開幕までに何とかしないといけない問題というわけではないことだけは頭に置いておきましょう。

建設費用が当初の4割増に!

それでも今回、大問題に発展しているのは、エスコン駅の建設費用の爆増です。

当初80億~90億円と見込まれていた建設費が、予定の4割増となる115億~125億円になる模様だと、JR北海道が2月下旬に地元へ伝えたことで事態が急転。

エスコンフィールドが建設された北海道・北広島市がこの金額を聞いて

払えまへん…

と白旗を挙げ、大きな波紋を呼んでいるのです。

エスコン駅は北広島市の「請願駅」

このエスコン駅の建設費用問題、元々はファイターズとはあまり関係がありません。

というのも、この場所(エスコンフィールドの最寄りとなる場所)に駅を建設したいと願い出たのは、球団ではなく北広島市なのです。

このように、地方自治体や企業が要望を出すことで建設される駅を「請願駅」と呼びます。

請願駅は、請願した地方自治体や企業が予算を負担するのが一般的です。というか自分達からお願いしているわけですから自分達でお金を払うのは当然ですよね。

建設をお願いしておいて、金額が出てきたらやっぱり払えません…って、これは北広島市の見積もりが少々、いや、だいぶ甘かったと非難されても仕方ありません。

何故こんなに高いの?

こうなると気になるのは、エスコン駅の建設費用がここまで高くなる理由です。

これについてJR北海道は、建設費用高騰の理由を、資材費や人件費の高騰と説明しています。

ロシア・ウクライナの戦争による物価上昇や、建築業界の2024年問題などが影響しているのが大きな理由なのでしょうが、実際にはもっと細かい理由もあるようです。

除雪、整地、バリアフリー、安全必須事項etc…

他に建設費用が爆増する理由は、まず北海道という土地柄、除雪をしなければ工事ができない期間が他の地域より長いことが挙げられます。もちろん除雪にだって費用がかかります。

そして北広島市の地理はwikipediaによると

各所に標高100 m前後の丘陵があり起伏に富んでいる

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%BA%83%E5%B3%B6%E5%B8%82

となっており、平坦な地形でないことが分かります。

駅を作るためにはしっかりと整地をした上で建設しなければならず、これも費用に大きく影響を与えます。

また、最近は駅構内にエレベーター設置などバリアフリー対応が義務化されており、そうした費用も加算。

さらに駅の乗降者数によって整備や屋根などに安全必須事項が設けられており、いくら試合開催日しか人が来ないと言っても、数万人単位の乗降車数があると、単に電車が停まるだけの”簡易駅”にはできないという事情もあります。

建設費用がかさむ理由は色々あるのです。

それでも必要な駅

それでもこのエスコン駅は、ファンからすれば必須駅です。

現状、エスコンフィールドまでのアクセスは、最寄りのJR北広島駅から徒歩で20分程となっています。

しかしそれよりキツいのは、まずこのJR北広島駅まで行くことだったりします。

↑はエスコンフィールドがある「Fビレッジ」のHPに掲載されている交通アクセスに関する画像ですが、ご覧の通り札幌駅や新千歳空港駅といったメイン駅から北広島駅までがまず遠い!

これでは球場に着くまでに疲れ果ててしまいます。

行きはウキウキ気分だからまだ我慢できるとしても、帰り、特に負け試合の帰り道が長いというのは地獄です。しかも徒歩の距離もガッツリある…

現状ではエスコンフィールドが交通アクセスに恵まれているとは全く言えず、施設に隣接する形の「エスコン駅」の建設は、集客を上げるためには絶対条件と言えます。

結局、エスコン駅はどうなる…?

エスコン駅の建設費用が当初の予定を大幅に上回り、誘致した北広島市が白旗状態である、しかしエスコン駅の建設はファイターズ及びファンにとっての必須条件である、というこの現状。

結局のところエスコン駅はどうなるのでしょうか…?

建設費用を誰が払うのか

請願駅として要望が出され、球団にとってもファンにとっても必要な駅であるという背景を考えれば、「建設しない」という判断はもうあり得ません。

最初は物珍しさでそれなりの集客があっても、今の交通アクセスのままではいずれ札幌ドーム時代よりも客が集まらなくなるのは目に見えています。

観客動員数は球団経営にも自治体の活性化にも大きな影響を与えるわけですから、それを上げるための努力を惜しむことは明らかに悪手です。

とどのつまりが「誰が駅の建設費用を払うのか」という話になってきます。

北広島市に支払い能力は…

現時点で白旗を挙げている北広島市ですが、残念ながら今後もその費用を賄える状況になることは考えにくいです。

というのも、北広島市の「お財布」とも言うべき一般会計は250億円前後となっており、120億とされるエスコン駅の建設費用はその約50%を占める計算になります。

普通に考えて無理です。

駅の建設に半分も予算を費やしたら、その他の公共事業などがズタボロになるでしょう。

ちなみに北広島市の日ハム関連出資は300億円〜400億円に迫ろうとしています。一般会計を大幅に超える金額をどうやって回収しようと言うのでしょうか…。心配でなりません。

最後はやっぱり…

ということで、最後はやっぱり日ハムがお金を出すしかなくなるでしょう。

請願駅というのは先ほど、地方自治体や関連企業がお金を払うと書きましたが、実際には地方自治体「と」関連企業が共同で出資するケースも多くあります。

同じ北海道にある請願駅「ロイズタウン駅」は、ロイズとロイズの工場がある当別町が共同出資して建設されました。

このままでは建設されない「エスコン駅」は、建設されないと困る日ハムが泣く泣く予算を一部負担する形に落ち着くと思われます。

日ハム、何か札幌ドームでの問題も含めていろいろツイてないですね、ちょっと同情します。あ、でも日ハムもよく調べないで新球場のサイズ間違えたりしてたから他のことは言えないか…

どうなるエスコン駅…結局は日ハムが費用負担することに?

建設費用が爆増で窮地に立たされている「エスコン駅」について迫ってきました。

当初の予定の4割増という驚きの金額は、北広島市の甘い計算が招いた事態と言えそうです。

それでもこの”新駅”は、街にとっても球団にとってもファンにとっても必要不可欠。建設しないという判断はあり得ません。

しかし北広島市に支払い能力はなく、結局は日ハムが泣く泣く予算を負担することになる、というのが結論です。

まあ、すべてはこのエスコン駅の建設費用を一笑に付すことができるぐらい観客が集まるプレーを日ハムが見せてくれればいいんです。日本ハムファイターズの躍進に期待しましょう!