実に66年ぶりの新球団の誕生か…と話題を集めているプロ野球界。
昨年(2022年)7月のプロ野球オーナー会議にて浮上したこの新球団問題。つい先日、その新球団のスポンサーが「ハヤテインベストメント」という会社であると早くも明らかになりました。
しかし、新たな参入チームが具体化してきたことで盛り上がりを見せるかと思いきやネット上では
- な~んかキナ臭いな
- 事がすんなり進みすぎてて怪しい
- 読売が一枚噛んでるな、これは
など、手放しで喜べない背景があると勘繰る声も聞かれます。
この記事では、なぜプロ野球新球団誕生案がこんなにも急に降って湧いてきたのか…その理由や背景に迫っていきたいと思います。
もくじ
新球団スポンサー「ハヤテインベストメント」
まずは新球団のスポンサーとして名乗りを上げた「ハヤテインベストメント」という会社に少し触れておきます。
和製ヘッジファンドである
ハヤテインベストメントは東京・兜町に本社を置く投資ファンドです。
一般的なメディアにはほとんど登場しないため知名度は低いですが、機関投資家や富裕層の間ではよく知られた“和製ヘッジファンド”とのこと。
ヘッジファンドについて詳しくは↓
https://adviser-navi.co.jp/watashi-ifa/column/58/
代表は杉原行洋氏
ハヤテインベストメントの代表は「杉原行洋」という方です。今年45歳とまだまだ若き経営者ですが、金融業界での実績は申し分なし!
杉原氏については既にまとめた記事がありますのでよければ↓からどうぞ。
新球団は「2軍限定」の参入
今回、ハヤテインベストメントは異例の「2軍限定」での参入となります。
静岡県を本拠地に編成し、東日本の7球団が所属するイースタンリーグ(日本プロ野球のファームリーグ)に参加。
本拠地を静岡県にする主な理由は
国内都道府県のGDP上位10位以内で静岡県にだけプロ球団が存在しないこと
とし、他にも球場設備が充実していることや交通アクセスが良好であることなども影響していると杉原氏は語っています。
ここまでは一見すると何も怪しむ点はないかのように思われますが…
新球団の何が怪しい?
では、新球団誕生の何が怪しいのか、何が勘繰られているのか、といった点に切り込んでいきます。
不自然な読売主導
今回、この新球団誕生がどうにもキナ臭いと言われる所以は「読売主導」で事が進んでいることです。
読売と言えば、もちろん読売巨人軍のオーナー・読売新聞グループであり、日本球界の盟主と言っていい存在です。
そして昨年7月のプロ野球オーナー会議において、新球団の参入を提案したのは他でもない読売新聞グループ本社社長・山口寿一氏です。
しかし読売グループと言えば…
2004年の大騒動
読売グループの新球団関連騒動と言えば、思い起こされるのは2004年の近鉄バファローズ買収問題。
ホリエモン率いるライブドアが近鉄買収に名乗り出るもプロ野球側はこれを拒否。その後の東北球団への参入権を巡る争いでもホリエモンは敗れ去りました。
この騒動を裏で操っていたと言われるのが読売グループのドン・ナベツネこと渡辺恒雄氏です。ホリエモンの近鉄買収拒否も東北球団参入を楽天にしたのも、すべてナベツネの鶴の一声だと言われています。
つまり読売(というかナベツネ)は新球団誕生や新規参入に対して強く難色を示す、というのがこれまでの通念だったわけです。
読売主導の理由…狙いは?
ところが今回、そんな読売グループが“新球団誕生”を自ら提案し主導。何か裏があるのではないか?と勘繰られるポイントはここにあります。
では、読売が新球団設立を主導する理由は何なのでしょうか。
ハヤテグループを巨人の育成組織に?
考えられるのは、ハヤテグループの新球団を巨人の育成組織にする腹積もりなのではないかということです。
ご存知の通り、巨人は昔からFAなどの制度を利用して大物選手を金で獲りまくります。しかしそれは裏を返せば「育成がド下手クソ」だということでもあります。
若手をしっかりと育てることができれば、わざわざ高いお金を払ってまで他球団から選手を獲得する必要はないからです。
しかし若手が育つ下地を作ることはなかなか難しい…。そこで2軍に新球団を参入させることで、若手の育成・活躍の場を提供。自分たちの手で若手を育てなくても、ファームリーグで活躍した選手を金で引っ張ってこればいい、という戦略です。
ドラフト逃れの狙いも?
巨人の狙いは“ドラフト逃れ”にもありそうです。
2軍しかチームを持たない新球団がドラフト会議でどのような位置づけになるのかは分かりませんが、通常通り参加できるとなれば…
ハヤテグループが指名する選手を裏で操り巨人が獲得したいと思う選手をハヤテグループで獲得させる
↓
後に巨人へ引っ張る
という流れが可能です。
これで巨人は他球団とのドラフト指名権争いから逃れ、うまくすればドラフト1位クラスの選手を事実上2人獲得できることになります。
過去に散々新規参入を拒んできた読売グループが今回手のひらを返すように新球団設立を主導するのは、以上のような思惑がってのことではないかと思われます。
弱まるナベツネの影響力
もちろん読売グループがそんな姑息なことだけを考えているとは思いません。
日本球界の未来のため、将来的にはNPBの2軍(ファーム)リーグと独立リーグを統合し、多くのスポンサー企業参入を促すための第一歩と捉えることもできます。
ただいずれにせよ、ナベツネの影響力が弱まっていることは間違いないでしょう。
ナベツネが嫌う会社の特徴に「カタカナ社名」と「金融業」があります。かつてオリックスのことを“カネ貸し球団”とバカにしていたのは有名な話。
しかし今回、新規参入する企業は「ハヤテインベストメント」という「ヘッジファンド」。カタカナの金融業という、元気なナベツネなら絶対にOKを出さないタイプの企業です。
ナベツネも御年96歳。もう正常な判断ができる状態ではないのかもしれません。(あ、昔から正常な判断はしていないか…?)
キナ臭いプロ野球新球団…読売主導の狙いは育成組織化か?
どうにもキナ臭いウワサが絶えないプロ野球の新球団。
ハヤテインベストメントというヘッジファンドが、プロ野球の力で一般的な知名度を得たところであまりメリットはありません。
ハヤテグループの”お客”は、プロ野球観戦を楽しむような一般層ではなく、経営者などの富裕層だからです。
それでも新規参入する裏には、プロ野球界の盟主・読売グループの思惑があり、その思惑とは
- ハヤテGを巨人の育成組織にする
- ドラフトで有望選手を獲得させてプールしておくと
といった点ではないかと思われます。その場合もちろん読売グループからハヤテインベストメントへの見返りもあるのでしょう。
まあ我々庶民は、今回の新球団誕生で野球界が盛り上がり、さらなるレベルアップに繋がってくれれば文句はありません。
黒い背景があろうとなかろうと、もっともっと楽しめるプロ野球界になってほしい…願うのはそれだけです。