5月14日、横浜DeNAの自力Vが消滅しました。
まだ5月・・・序盤戦と言ってもいい段階での自力V消滅ですが、
もうDeNA優勝の可能性はないの?
そもそも自力V消滅って?
過去最速で自力Vが消滅したチームは?
といった疑問にお答えしていきます。
もくじ
自力V消滅とは
自力Vの定義
まずは自力V(自力優勝)の定義を確認しておきましょう。
自力Vとは「あるチームが他のチームの勝敗にかかわらず優勝すること」です。
これは比較的分かりやすいですね。残りの試合を全勝すれば優勝できる、この状態を「自力Vが可能である」といいます。
自力Vが消滅とは
一方、その自力Vが消滅するということは「あるチームが残りの試合に全勝したとしても、他のチームの勝敗次第で優勝できない可能性が残っている」という状態です
今回の場合
今年のケースでは、5月14日の試合終了時点でDeNAは11勝26敗5分。残り試合数は101試合となっています。
DeNAは残り試合をすべて全勝すると112勝26敗5分。
え?この成績で優勝できないの?と思いますよね。
その通りです。最終的に112勝26敗5分なら、もう確実にブッチギリで優勝です。
じゃあ自力V消滅じゃないじゃん、と思うかもしれませんがここからがキモ。
現在首位の阪神は26勝10敗2分で残り試合数が105試合。この105試合のうち、DeNA戦は16試合。
DeNAがこの16試合を全勝すると仮定して、まずは阪神の成績を26勝26敗2分とします。
すると阪神の残り試合は105-16=89試合。そしてこの89試合を阪神は全勝すると仮定すると115勝26敗2分となります。
この時点で阪神の方が勝利数を上回っていますが一応勝率を出すと阪神が.815、DeNAが.811(勝率の計算には引分数は含まない)となって阪神が優勝となるのです。
自力V消滅の意味
あり得ない計算
ということでお気付きの通り、こんな100勝以上での優勝争いなんて現実にはあり得ないということが分かります。
○○が100勝して・・・とか○○の勝率が.800で・・・、なんて実際はあり得ない計算です。
プロ野球における最多連勝記録は1954年の南海ホークス、1960年の毎日大映オリオンズの「18」。
20連勝すら現実的でないのに、残り試合100連勝なんて絶対に起こりえません。
つまり残り試合数が多い状態での「自力V消滅」にはあまり意味がないということが言えます。
時期による
もちろん全く意味がないということではありません。結局大事になってくるのはペナントレース終盤。残り試合数が少ない中で「自力V」が消滅すると非常に苦しい。
自分達がどれだけ頑張っても、他チームの動向次第で優勝がなくなってしまうからです。
しかも今年は新型コロナ禍の影響で試合は9回打ち切り。引分の試合数が大幅に増えることが予想されています。引分試合数に関してはこちらの記事より↓
【わけほー、うさほー、たかほー】「◯◯ほー」とは?その由来についても解説 2021.5.6
勝率の計算には引分の数は一切含まれないので、引分の数が多いチームはどんどん苦しくなっていくことになるでしょう。
ちなみに「マジック点灯」というのは、あるチーム以外のチームすべてが「自力V消滅」した状態ということです。
そう考えるとマジックの意味も分かりやすいですね。他チームの自力Vが消滅しているんだから、マジックが点灯したチームはひたすら「勝てばいい」ということになります。
ただ、今年に限った話ではありませんがこんなに早い段階で「自力V消滅!」と騒ぎ立てるのはよろしくないと思います。
もちろん成績が悪いからそうなるのであって勝てないチームには大いに問題がありますが、まるで優勝の可能性すら無くなったような表現はファンの誤解を招きかねません。選手のモチベーションだって下がるでしょう。
ここからDeNAが奇跡の快進撃を見せる可能性だってある・・・のか?
プロ野球史上最速「自力V消滅」
こればっかりはしょうがないでしょ
早い段階での自力V消滅に意味がないと言えど、やっぱり気になるのはその最速記録。
近年における「自力V消滅最速記録」は、2005年・楽天の29試合目(4月30日)です。
何と今回のDeNAの5月より早い!
しかしながらこの2005年は楽天イーグルスが誕生して最初のシーズン。戦力や環境もままならない状態での戦いを強いられたシーズンであり、致し方なしと言えるでしょう。
しかもこの年は上位3チームによるプレーオフで優勝を決めたため、厳密に言うと「自力1位」が消滅したという形でした。
ところが楽天は2018年にも31試合目(5月7日)での自力V消滅をやらかしています。これも今年のDeNAより早いので、どうかベイスターズファンは自暴自棄にならないでください。
真の「最速」は・・・
そして本当のプロ野球史上最速自力V消滅は、1955年・大映スターズの27試合目(4月28日)です。
自力Vが消滅した4月、大映スターズは3勝21敗という絶不調期を迎えてしまい、不名誉な記録保持者となってしまったのです。
ですがそこまで当時の大映スターズが弱かったわけではなく、この年のシーズンも最下位は免れ6位(当時のパ・リーグは8チーム)でフィニッシュしています。
まとめ
ということで
もうDeNA優勝の可能性はないの?
そもそも自力V消滅って?
過去最速で自力Vが消滅したチームは?
といった疑問にお答えしてきました。
- まだまだDeNAには優勝の可能性が十分ある
- こんなに早い段階での「自力V消滅」にはあまり意味がない
- もっと自力V消滅が早かったチームもある
ということがお分かりいただけたかと思います。
まだまだ先は長いペナントレース、何事も諦めず好きなチームを応援していきましょう!(N)