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NewPost 2021年発行

また?緊急事態宣言はもうウンザリ・・・そろそろ定額給付金のおかわりはいかが?~後編~【WEB限定】2021.4.26

経済対策の矢印

また?緊急事態宣言はもうウンザリ・・・そろそろ定額給付金のおかわりはいかが?~前編~【WEB限定】2021.4.24

前編はこちら↑

3度目の緊急事態宣言でさらに荒んでいく日本国民の心。これを救うには2度目の定額給付金しかない!という意見もあるかもしれません。

しかしながら定額給付金については菅総理ならびに麻生総務相が再三に渡って否定しています。

それはコロナ対策のために立てた予算の矢印をどこに向けているか、何を重視しようとしているかに関係しているのです。

「雇用」を最重要視

コロナで沈んでいく経済活動の中、日本という国は何を守ろうとしたか。

それは「雇用」です。

企業に対して給付金や助成金を回すことで倒産を防ぎ、失業者の増加を抑える方策を選択したのです。

こうした雰囲気の中で失業者が増えるとどうなるでしょう。おそらく、というか確実に自殺者の数がもっと増えます。その数は5千人とも6千人とも言われています。

日本では「会社が倒産し職を失う」ということが「人生の終わり」を意味すると考えている人が多いのではないでしょうか。

それは「終身雇用」という、現代においてはおよそ現実的ではない思想の中で働いてきているからです。

これは日本人独特の考え方です。海外では「倒産」や「失業」に対する考え方が違います。アメリカなどは「会社なんて倒産するのが当たり前」「失業したらまた次の職場を探すだけ」―――こういう感覚が強い。

トランプ前大統領なんて会社を実に4回も潰しています。日本ではそんな人間がトップに立つことなど考えられません。アメリカ人は会社の倒産なんて当たり前、と考えている何よりの証拠ではないでしょうか。

もし日本が企業への給付金や助成金をも出し渋っていたら、おそらく倒産件数や失業者数はもっと大きく増加していたでしょう。

その代わり、手元には10万円の定額給付金。

どちらが良いですか?という問題です。

事実、日本の完全失業率は最新の数値が2.9%。2020年1月の数値が2.4%だったので、上がってはいますが非常に小さい幅です。

これがアメリカになると3.5%が6.3%に急上昇。その他イギリス、ドイツ、フランスといった先進国も軒並み1%以上の上昇幅となっています。

完全失業率・上昇幅

日本   2.4% → 2.9%

アメリカ 3.5% → 6.3%

イギリス 4.0% → 5.1%

ドイツ  3.4% → 4.6%

フランス 7.7% → 8.9%

韓国   3.9% → 5.4%

日本が企業向けに行った経済対策は、たしかに効果をあげているのです。

じゃあもう定額給付金は絶対ないの?

というとそういうわけでもありません。

5月の頭に1-3月期のGDPが出ます。この数値があまりに悪いと、ちょっと風向きが変わるのでは、と言われています。

そしてこの1-3月期のGDPは間違いなく悪いです。2度目の緊急事態宣言もありましたし悪い数値が出るのは確実と言われています。

そうなると補正予算の議論が必要となり、そこで改めて定額給付金という案が動き出すことも十分考えられるのです。

ただし仮に補正予算という形で対策費や予備費を捻出したとしても、その行き先が個人になるかというとそれは何とも言えません。

と言うのもコロナ禍が始まって1年以上が経過し、その影響でどの分野の人たちが苦しい思いをするか、どの業界が一番大きなダメージを食らうかが見えてきたからです。

そうなると、新たに組んだ予算は依然厳しい状態が続いている飲食業界や観光業界に回す、ということが最優先されるはずだからです。

定額給付金という形そのものの是非

10万円もらえたら嬉しい・・・それは当たり前です。実際に収入が減って生活に影響が出ている世帯も多いと思います。

ですが一度目の給付のときを思い出してください。

スムーズに10万円が受け取れたと感じた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。面倒な手続き、一向に振り込まれない金額、面倒くさかったというのも本音だと思います。

これは日本の「申請主義」という仕組みがそうさせています。日本という国は税金などお金を集めるときはものすごくスムーズなのに、逆にお金を出すときはとにかく手続き(申請)が複雑です。

例えば「自動手当」のサービスも、子どもがいるという時点で受給条件を満たしているのに、実際に手当を受け取ろうと思ったら「申請」をしなければいけません。申請してこない世帯に子どもが何人いようが関係ないのです。

日本人は当たり前のように文字の読み書きができますが、もしこれが識字率の低い国だったら・・・申請書の記入や提出ができない人々はそのサービスを受けることができないことになります。

では今回の10万円給付金もどうでしょう。

コロナで本当に影響を受けて生活に困窮しているのは、我々一般庶民よりも身体障害者の方や路上生活者の方ではないでしょうか。

そうした方々が、容易く給付金の受給手続きを行えると思いますか?

現行の仕組みのまま再度「10万円配ります、欲しい方は申請してね」とやっても、もしかしたら本当に必要な人たちには行き渡らない可能性があるのです。

そう考えたら、お金を企業の援助に回すことで経済活動を維持し雇用を守ることで、社会的に立場の弱い方々にも間接的に支援の手が届く、という考え方も間違いでなないと言えるのではないでしょうか。

感染拡大防止と経済対策、二束のわらじ

コロナへの対応というのは感染拡大の防止と、パニックによって生じた経済的な凹みの修正という、2本立てで行う必要があります。

「緊急事態宣言」というのは前者への効果しか見込めません。これを何回行ったところで経済効果はないどころか、むしろ経済を停滞させてしまうことになります。

しかも宣言そのものの影響力も回を追うごとに薄れている。

この緊急事態宣言ばかりが取り上げられているのは日本にとって悪影響しかありません。そろそろ次のステップへの方向性を示してほしいところです。(N)