甲子園はドーム化できないのか!の声が日に日に増しています。
今年は悪天候により順延が相次いだ上に、8月17日に行われた大阪桐蔭VS東海大菅生の一戦では8回途中、降雨コールドとなりました。(7-4で大阪桐蔭が勝利)
コールドとなった瞬間は東海大菅生の攻撃中、しかも1死一、二塁というチャンスを迎えていた場面だっただけに、東海大菅生ナインの悔しさや無念さは並大抵のものではないでしょう。
そんな状況を受け、
甲子園はもうドーム化してやれ!
甲子園はドーム化できないの?
という声が多数。
この記事では甲子園がドーム化できない理由について3つのポイントから解説していきたいと思います。
もくじ
今年はとにかく雨天中止がヤバい!
問題となった大阪桐蔭-東海大菅生の一戦に限らず、今年の甲子園はとにかく雨天による順延が繰り返されており、ドーム化に対する声は高まるばかり。
この日(17日)は予定されていた第2~第4試合は翌日に順延、これで今大会の雨天順延は実に5度目となりました。
これによりその後の日程も大きく変動。決勝戦は史上最も遅い8月28日の予定となっています。しかしこれすらこの後の天候によりさらにズレる可能性があります。(その後、実際に8月29日に変更)
甲子園がドーム化されれば、このような雨天による順延とは無縁で日程を消化することができるようになるのですが・・・
問題は雨天中止だけではない
甲子園ドーム化の好影響は天候に関することだけではありません。
かねてより問題視されてきたのは真夏の炎天下で行われることによる選手達の消耗。
ここで無理をして将来が閉ざされてしまうほどの怪我を負ったり、調子を崩してしまう選手が後を絶ちません。
空調完備のドーム球場であれば、こうした選手の酷使という問題も解決できます。
甲子園がドーム化できない3つの理由
それではなぜ甲子園がドーム化できないのか、3つの理由を解説していきます。
まずその3つの理由とは
- 立地上の問題
- 工事期間の問題
- 歴史的建造物としての価値
それぞれ解説していきますね。
甲子園がドーム化できない3つの理由①立地上の問題
甲子園球場を訪れたことがある方は分かると思いますが、球場の真横を阪神高速道路が通っています。
航空写真で見るとこんな感じ↓
さらに画像でも分かる通り、球場と住宅街との空間がほとんどありません。民家が並ぶ地区のど真ん中にドカンと構えているのが甲子園球場なのです。
騒音や事故などの危険性を考慮すると、この環境下で大規模なドーム化の工事をするということ自体がまず相当な無理難題です。
甲子園がドーム化できない3つの理由②工事期間の問題
単純に屋根をつけるだけでなく、選手達の体を考え空調を完備したドーム球場化をしようとすると、工事期間に数年を要します。
当然のことながらその期間は甲子園大会の開催ができません。
工事期間中は別の球場で開催することになりますが、その期間に甲子園出場をする選手達はやはり「あの甲子園球場で試合をしたかった」と思うでしょう。
さらに甲子園球場はプロ野球・阪神タイガースのホーム球場ですから、もちろんプロ野球との日程調整も必要になってきます。
そのやりくりは非常に複雑なものになってしまうでしょう。
甲子園がドーム化できない理由③歴史的建造物としての価値
もはや甲子園球場は歴史的建造物と言っていい存在です。
日本で1番古い公式の球場であり、世界的に見ても3番目に古い球場です。ただ単に“野球ができればそれでいい”というものではないのです。
2006年から2010年にかけて段階的に行われた大規模改修工事も、元のイメージを最重要視する方向で進められました。
ドーム化することで、築き上げてきた甲子園の価値というものが揺らいでしまうというのも大きな要因と言えます。
過去にもあった、ドーム化への動き
こんな動画が見つかりました。
ニュースは1994年ごろのものと思われます。
この頃からすでにドーム化の話は持ち上がっていたようですね。ちなみにこのときは高野連からの猛反発でドーム化が見送られたとの噂です。
甲子園が神格化されすぎているのも原因か
球場のドーム化や開催時期など、変更したほうがいい点が山ほどある夏の甲子園大会。それでも一向にそれらが改善される気配はありません。
「聖地」と呼ばれているように、甲子園というものが不可侵領域になってしまっているのは大きな問題です。
前途ある若者が「ここで選手生命が終わってもいい」と思ってしまうほどの大会というのはある種“異常”です。
だからこそ生まれる感動やドラマがあることも十分認識した上で、変えるべき点は変えていく必要があるのではないでしょうか。
甲子園がドーム化できない3つの理由!すべては選手達のために
甲子園がドーム化できない3つの理由について解説してきました。
- 立地上の問題
- 工事期間の問題
- 歴史的建造物としての価値
という理由があることはお分かりいただけたと思います。
ですが甲子園が抱える問題は、球場のドーム化だけで解決するものではありません。物理的な改善だけでなく、価値観や存在意義も見直していくべき点が多くあります。
そのすべてが、実際にプレーする選手達のために議論され、執り行われることを期待します。