6月5日、第12回関西女子硬式野球選手権ラッキートーナメント大会が開幕。
プロ野球の阪神タイガースが設立した兵庫県のクラブチーム「阪神タイガースWomen(ウィメン)」が初の公式戦に臨み、7―0の五回コールド勝ちで初陣を飾りました。
ん?阪神タイガースWomenってどんなチーム?と思った方も多いことでしょう。
ここでは阪神タイガースWomenというチームの詳細と、気になる選手たちの給料や年俸に迫ってみたいと思います。
もくじ
阪神タイガースWomenとは?
阪神タイガース Womenは、日本のプロ野球球団・阪神タイガースが設立する女子硬式野球クラブチームです。
創設は2021年1月と、まだ誕生して間もない新しいチームです。
日本で2例目
日本野球機構(NPB)加盟のプロ球団が設立に携わる女子硬式野球クラブチームとしては、埼玉西武ライオンズ・レディースに次ぐ2例目のチームとなります。
この埼玉西武ライオンズ・レディースも2020年1月に創設されたばかりと、プロ球団が女子チームを持つという形式そのものが非常に新しい試みなのです。
プロではない
阪神タイガースというプロ球団による女子チームということで、ついつい「プロ野球チーム」と認識してしまいそうになりますがそうではありません。
阪神タイガースWomenは「アマチュア」球団です。
給料や年俸は?
ここで気になる給料や年俸についてですが、プロ野球ではなくアマチュアなので、はっきり言って
給料も年俸も一切発生しません。
阪神タイガースWomenに所属する選手も、社会人や大学生ばかりです。
女子プロ野球ってあったよね?
その通り、日本女子プロ野球機構という組織は存在します。
ところが今年4月、この日本女子プロ野球機構が今季の公式戦を開催しないことを決めたのです。
同機構は3チームで実施していたリーグ戦やカップ戦をすべて中止すると発表。
その理由を「女子プロ選手として登録する選手が若干名になったため」と選手不足が理由だとしています。
長引く不況で日本女子プロ野球リーグの運営に苦しんできた同機構は、一昨年のシーズン中に緊急会見を開き、累積赤字の状況を明らかにして新たなスポンサーを募りましたが応じる企業はありませんでした。
スポンサーが集まらなければチームも選手を雇うことができません。
日本女子プロ野球は非常に厳しい状況に追い込まれているのです。
野球ができる環境を求めて
プロとしてプレーできる実力を持っていても、実際にプレーする場がなければ意味がありません。
そうした選手たちにとって阪神タイガースWomenという存在は非常に大きいのです。
元プロ選手が流入
阪神タイガースWomenには、先述の日本女子プロ野球機構に所属していた選手、つまり元プロ選手が11人、入団しています。
彼女らの多くはプロの道を一旦退き、どこかの企業や団体に所属して固定給を得ながら阪神タイガースWomenの試合や練習に参加していることになります。
「女イチロー」も…
阪神タイガースWomenに所属する三浦伊織選手は、女子プロ野球リーグで前人未到の通算500安打を達成したレジェンドです。
昨季まで11年間在籍した女子プロ野球リーグでは、MVPを3度受賞。
「女イチロー」の異名を取り、巧みなバットコントロールで首位打者を4度獲得し、盗塁王にも8度輝いた押しも押されもせぬトッププレーヤー。
そんな彼女でも、女子プロ野球自体が公式戦を行わないのであればプロで居続けることができないばかりか野球をすることすらできません。
「野球ができる環境」を追い求めた結果、阪神タイガースWomenは最高の受け皿となったのです。
タテジマの意味
プロ野球界屈指の歴史と伝統を誇る阪神タイガースのタテジマのユニフォーム。
そのユニフォームを着て野球ができることは、お金では測れない価値があるようです。
三浦伊織選手は
「テレビで見ていたユニホームを自分たちが着ているのは、すごいことじゃないですか。こんなに素晴らしい環境で野球ができていることに感謝して、女子野球の普及発展に貢献したいと思います」
と語っています。
申し分ない練習環境
現在、阪神タイガースWomenの練習場所はファーム本拠地の鳴尾浜球場と甲子園の室内練習場。
平日は週3回、午前と夜の2班に分かれて2時間の練習を行い、週末の1日を全体練習に充てています。
全体練習が週末なのは、土日しか時間がない選手が多くいるためです。
それでも
「入る前はクラブチームなのであまり練習できないかなと思っていましたが、申し分ないです」
と三浦選手は話し、プロ時代と遜色ない練習環境に感謝しています。
まとめ
まだ始動したばかりの「阪神タイガースWomen」。
日本において野球は今も昔もこれからも、人気No.1スポーツでしょう。
しかし「女子野球」が置かれている環境は、とてもそのような華やかなものではありません。
女子プロ野球の存在そのものが危険な状態にまで追い込まれているのです。
そんな中、阪神タイガースや埼玉西武ライオンズが女子チームを立ち上げたことは非常に大きな意味があると思います。
その存在が野球人口の裾野を広げ、ひいては野球文化の更なる発展につながっていくことを期待しましょう。