もくじ
精神的ストレスの多い毎日が続く
コロナ禍も2年目を迎えました。そんなに簡単に収束するとは思っていませんでしたが、良くなるどころかむしろ悪化しているとは予想していなかった方も多いのでは?
遅々として進まない対策やワクチン接種・・・
国内の死者数も昨年12月以降一気に増えており、ついに累計で1万人を突破しました。
そして3度目の緊急事態宣言・・・
そんな中でゴールデンウィークを迎えても、うまくストレスを発散できなかったり時間を有効活用できなかったりで心も体も休まらない方が多くなるのは当然です。
そこに襲ってくるのは五月病。
今までは「そんなのかかったことないぜ!」って方も、これだけの異常事態の中では予期せぬ精神状態に追い込まれることも予想されます。
五月病の仕組みや原因を知れば、心を病んでしまうような状態を逃れられるかも・・・
ということでまとめてみました。
4人に1人が五月病
ある調査によると、「これまでに五月病になったことがあるか」という質問に男性は21.6%、女性は25.0%が「ある」と回答しています。
年代別では、男性で最も多いのが30代、女性では20代、という結果が出ています。
その症状は様々ですね。一例を以下に挙げておきます。
■精神的症状
悲しみ、憂うつ感、不安感、イライラ感、緊張感
無力感、倦怠感、気だるさ、やる気が出ない
■肉体的症状
食欲不振、体重減少、嘔吐、胃痛、吐き気
寝つきが悪い、朝早く目が覚める、不眠
動悸、めまい、血圧上昇、手足の裏に汗をかく
頭痛やひどい肩こり
■行動
消極的になる、周囲との交流を避ける、引きこもり
飲酒、喫煙量が増える
だらしなくなる、落ち着きがなくなる
などなど。
症状は多岐に渡っていてなかなか恐ろしいものだと思います。
五月病に関する予備知識などの過去記事はこちら↓
「Everything will・・・」のはなし。17.4.27
主な原因とコロナ禍ならではの原因
五月病の基本的な原因は、新年度や新生活が始まり新しい環境や人間関係に馴染めず精神的に不安定になってしまうことです。
これはよく言われていることですが、コロナ禍においては普段とは一風変わった原因も指摘されています。
社会人の場合は、経営的に安定しない企業が多くなり勤務体系や出勤回数が確立されないことでリズムが掴みづらい状況が影響してきます。
また、学生さんの場合は友人らと気軽にコミュニケーションを取れないことで、不安や悩みを内に閉じ込めてしまうケースも増えているようです。
そしていわゆる「リモート」と言われるオンライン会議や授業も大きなストレスでしょう。
いくら手軽にオンラインで会議や授業ができるようになったと言っても、所詮は画面越しのやり取りでしかありません。
話がよく聞こえなかったり通信状況によって音声が途切れたり、スムーズに進行しないケースも多く、これは非常に大きなストレスです。
さらに目上の人間や初めて会話する人との画面越しのコミュニケーションというのはとにかく気を遣います。
こうした観点から、これまで以上に五月病を発症してしまうリスクは高くなると想定されます。
鍵を握る「セロトニン」
セロトニンは“しあわせホルモン”とも呼ばれる脳内ホルモンです。
緊張やストレスに対抗するために脳からセロトニンが分泌され、自立神経のバランスを整えようとしてくれるのです。
脳から分泌される物質にはいろいろありますが、「三大神経伝達物質」と呼ばれるのがこのセロトニンと、神経を興奮させるノルアドレナリン、そして快感につながるドーパミンです。
セロトニンだけが分泌されていればいいというわけではありません。それぞれがバランスよく分泌され作用することが大事と言われています。
“睡眠の質”に左右される
セロトニンは質の高い睡眠を十分に確保できているかどうかが非常に重要です。
「睡眠不足」の状態が良いわけはないのですが、コロナ禍で余計なストレスを日々感じている我々は、そのリスクが普段に増して脅威となります。
お役に立てるかは分かりませんが、睡眠の質を向上させる方法をご紹介します。
□起床時間を一定にする
人間の生体リズム(概日リズムと言うそうです)は約25時間で、1日の24時間より1時間ほど長いとされます。
つまり人間の細胞は25時間周期で動いているのです。
ですがこの生体リズムは光や温度、食事など外界からの刺激によって修正されることが分かってきました。
起床時間を一定にし、朝の光を目に入れることで24時間周期にリセットすることが可能なのです。
その結果体内時計が正常に働き、意識と細胞がリンクした状態で活動することができます。
全身が協調性を保つことで心身ともに健康をキープできるようになるのです。
□強い運動はNG
アホみたいに運動しまくって寝る、というのはNGです。特に寝る直前に激しい運動をすると交感神経が優位になって寝付きが悪くなります。
激しい運動などしなくとも、午前中に屋外で15分、散歩をするだけで体内時計が整い生活リズムが安定します。
実際、睡眠治療にも「光治療」といって太陽光を模した光を決まった時間あびることで生活リズムを取り戻すという方法があります。
□就寝は体温が下がるタイミングで
身体の内部の温度が下がるときに副交感神経が優位になり、入眠しやすくなります。
入浴から1時間後ぐらいで身体の内部温度は下がってくるので、睡眠時間に合わせて入浴時間を調整するのが効果的です。
□ブルーライト厳禁
よく言われている通り、寝る1時間前からはパソコンやスマホを見ないように。
布団に持ち込んで寝るギリギリまでスマホイジリなんて言語道断です。
□照明は薄明かりで
照明は真っ暗ではなく、カーテンから少し光が透けるぐらいが理想的とされます。
やたらと真っ暗にしたがるウチの嫁に聞かせてやりたいです。
□お酒は控えましょう
お酒は睡眠の質を下げ、眠りが浅くなることが分かっています。また、アルコールの利尿作用で就寝中に目が覚めてしまうのも問題となります。
お酒を飲んで知らないうちに寝てしまう方も多いと思いますが、意図しない睡眠は気絶しているのとあまり変わりません。体が「寝ている」と認識していない状態では良質な睡眠は得られないのです。
認知されつつある「六月病」
五月病のみならず、最近では「六月病」も認知されつつあります。
症状は五月病と同じようなものですが、六月病にかかるのは「新入社員」の方が多いと言われています。
それは新人研修期間が終わり配属が決まっていよいよ本番が始まるという緊張感から、心身のバランスを崩してしまうことが原因のようです。
また、気候の影響も馬鹿になりません。六月と言えば梅雨です。悪天候が続けば気分的にも落ち込みますし、何より日光を浴びることができないのはあらゆる動植物にとって大きなダメージです。
気温差も激しく体調も崩しやすいことから、精神的なプレッシャーもかかります。
甘えるな!それじゃあ毎月「○月病」になってしまうだろうが!と思う方もみえるでしょう。
しかし今は過去何百年もなかったような異常事態が続いているのです。
自身のストレスに目を向けず、自分は大丈夫とタカをくくっていると痛い目を見るかもしれませんよ。
精神の安定のために・・・
睡眠の質や脳内物質の説明を長々としてきましたが、精神の安定を保つためにもっとも有効なのは「信頼する人に話を聞いてもらうこと」です。結果的にはこれがダントツです。
ところがこのコロナ禍で、誰かとゆっくり話をする機会が作りづらいのが現実。
最も効果的な対策が封じられているからこそ、今まで五月病を気にしていなかった方々にも意識をしていもらいたいと思います。
●五月病対策まとめ
- 起床時間を一定にする
- 強い運動はNG
- 体温が下がるタイミングで就寝
- 布団の中でスマホをイジらない
- 就寝時は真っ暗でなく薄明かりで
- お酒は控えめに
長引くコロナ禍の中では、睡眠の質改善が五月病の予防に最適だよ、というお話でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。(N)