イングランド・プレミアリーグの名門チェルシーが消滅の危機に直面しています。
理由は実に単刀直入。
多くの方がご存知の通り、チェルシーのオーナーをロシア人実業家であるロマン・アブラモビッチ氏が務めているからです。
ウクライナ侵攻を進めるロシアにはすでに様々な制裁措置が取られていますが、その影響はついにサッカー界にも及んできました。
チャンピオンズリーグ前回優勝という超一流クラブの消滅危機にネット上でも
- 一体どうなってしまうんだ
- 消滅は不可避なの?
- 誰か新しいオーナーは…
などの声が挙がっています。
この記事では、チェルシーを取り巻く現在の状況のまとめと、消滅を防ぐための唯一の手段と言える新オーナー誕生の可能性について迫っていこうと思います。
もくじ
チェルシー消滅に対する世間の声
やはりサッカーファンの間ではかなりの衝撃が走っているようです。
チェルシーの現状まとめ
それではチェルシーが現在置かれた状況についてまとめてみいきます。
イギリス政府がアブラモビッチ氏を制裁対象に
チェルシーが消滅の危機に瀕しているのは、イギリス政府が3月10日、アブラモビッチ氏を制裁リストに登録し、資産凍結や渡航禁止令などの処分を下したためです。
これはつまりチェルシーだけが制裁の対象となったわけではなく、アブラモビッチ氏が他にも数多く所有している資産全体に制裁措置が課されたということです。
逆に言えば「アブラモビッチ氏が制裁措置を課された資産の中の一つがチェルシーというフットボールクラブだった」という形になります。
とはいえ今回の消滅危機はクラブにもアブラモビッチ氏にも非はなく、すべてはプーチンの暴走が招いた結果なんですがね…
具体的な制裁措置の中身
アブラモビッチ氏が受けた資産凍結措置によって実際にチェルシーが被る被害は以下のようなものです。
- クラブ売却不可
- チケット販売不可
- グッズ販売不可
- 選手の新規契約不可(選手の今シーズンの給与支払いは認めるが来期は不可)
- スタッフの新規契約不可
- スタンフォードブリッジ(スタジアム)の使用は今シーズンのみ許可、来シーズンは不可
と、いうことでこれは超ヤバい!どころか、もはや「死刑宣告」と言っていいでしょう。
クラブの収入源を全て断たれた状態であり、試合をしても収益はゼロ…
それどころか試合を行う度に、移動費や管理・運営費が拡大していくことになります。アブラモビッチ氏はもはやチェルシーを所有しておく意味が全くありません。
クラブは元々多額の損失を抱えていた
アブラモビッチ氏の資金により「金満クラブ」として認知されていたチェルシーですが、今回の件が無くても元々多額の損失を抱えていたと言われています。
イギリス『BBC』によると
チェルシーが2021年6月30日までの1年間で生んだ損失は、1億4560万ポンド(約226億3500万円)
とのこと。
これは新型コロナウイルスの影響で無観客(チケット収入無し)でのプレーを余儀なくされたこと、さらに選手を売却した際の収益が減ったことが原因とされています。
兎にも角にも、チェルシーは金満クラブなどではなく、かなり厳しい経営環境にあったことになります。
赤字クラブを所有し続ける意味は…
そんな「赤字クラブ」をアブラモビッチ氏が私財を投げ売ってまで支え続けるメリットは、今回のイギリス政府による制裁措置で完全に消え失せたと言えるでしょう。
往年のサッカーファンからすると非常に寂しい話ではありますが、栄枯盛衰とはよく言ったもの。
一時代を築いた名門がこのままその歴史に幕を下ろすというシナリオは、かなり高い確率で進行していくのではないでしょうか。
チェルシー存続のために
でもやっぱりチェルシーの消滅は嫌だ!何とか存続させる方法はないのか!というファンも多いでしょう。
そのために絶対に必要なのは…
新オーナー
単純明快ですが、アブラモビッチ氏に代わる新たな新オーナーが現れれば、チェルシーは存続することができます。その人がロシア人でないことが前提条件ですが。
しかしながらその可能性も相当に低く…
チェルシーがアブラモビッチ氏から借金
チェルシーはアブラモビッチ氏から巨額の財務支援を受けていることが明らかになっています。
クラブはアブラモビッチ氏が所有するフォードスタム・リミテッド社から10億ポンド(約1,555億円)以上の債務を抱えていることが決算書で判明しました。
一説にはその金額は3,000億円以上とも言われており、この額はチェルシーを消滅させるには十分過ぎる破壊力を持っています。
なぜなら新たなオーナーはこの債務をすべて引き受けた上でチェルシーを所有しなければならいためです。そんなリスクを冒せる人間がいるとは思えません。
新オーナーに求められる条件
以上のことから、もしも新たにチェルシーのオーナーになろうという人物に求められる条件は
10億ポンド以上の債務ごと、そもそもが赤字クラブであるチェルシーを引き取り、制裁措置によって被るであろう負債や環境の変化をも飲み込めるロシア人以外の人物
と、いうことになります。
環境の変化というのは、今後チェルシーはプレミア一部に居続けることも難しい可能性が高く、最下層(8部とか)からの再挑戦も視野に入れなければいけないのです。
こんな条件をすべて満たせる人物は、どこかの国の国王クラスでもない限り存在しないでしょうね…。
チェルシーの存続は極めて厳しい状況です。
チェルシーの消滅は不可避?新たなオーナーの登場の可能性も低く…
アブラモビッチ氏が受けた資産凍結などの制裁措置により起きた、チェルシー消滅の危機について掘り下げてきました。
状況をまとめてみましたが、チェルシーはとにかくクラブとしての存在意義すら奪われたような状態であり、現状では収益性というものが全く見込めません。
さらにアブラモビッチ氏への制裁措置はチェルシーだけではないので、他の資産を守るために彼はチェルシーを手放すことが確実との見方もあります。
それでもチェルシーを存続させるならば、新たなオーナーの登場を待つしかありませんが、今のチェルシーを所有することはリスクしかないのが実情です。
戦争の影響がこんな形で出るというのは、一スポーツファンとして本当に悲しいことですが、今はただ、一日でも早く平和な世界が訪れることを祈るしかないようです。