3月18日開幕の第94回センバツ高校野球大会に出場する九州国際大付(福岡)の佐倉侠史朗内野手が注目を集めています。
今年のセンバツは、花巻東(岩手)の佐々木麟太郎を始めとしたスーパー1年生が話題になっていますが佐倉侠史朗選手もその一人。
183センチ、106キロの体から繰り出される長打力が最大の魅力ですが、一際目を引くのは彼の打撃フォーム。
まるで日本刀を構えるかのようなその独特のフォームからはスター性を感じさせます。
この記事では、佐倉侠史朗選手の独特な打撃フォームについてその理由に迫りつつ、手本にしたという選手との比較やドラフト評価などにも触れていこうと思います。
もくじ
佐倉侠史朗選手の打撃フォーム
まずは佐倉選手の打撃フォームを画像と動画で確認しておきましょう。
重心がとても低く、非常に個性的で印象に残るフォームですね。
佐倉選手の雄大な体格とも相まって、いかにも飛ばしそうなイメージを与えます。
これは相手投手にとってもプレッシャーなのではないでしょうか。
独特な打撃フォームの理由
それでは佐倉選手の独特な打撃フォームの理由について、なぜこのような特徴的なものになったか掘り下げていきます。
監督、コーチとの話し合いで誕生
自身の打撃フォームについて、佐倉選手本人がこう語っています。
「フォームが独特とは言われるんですけど、夏の大会で2~3打席立たせてもらって、結果が出なかったんです。そのあとに、監督やコーチと話し合って、低く構えて目線をぶらさず、重心が前に突っ込まないように気をつけると、あのフォームにたどり着きました。これが自分の打ち方だと思って、打撃を磨いていきたい」
どうやらこのフォームは高校に入ってから熟慮を重ねた結果のようです。
ちなみにフォームを見直すきっかけとなった夏の大会というのは夏の甲子園2021(第103回大会)の福岡県予選。
ここで佐倉選手は1年生ながら背番号13をつけてベンチ入りし、代打で2試合に出場しています。
フォーム改善の必要性
フォーム改善のポイントとして佐倉選手は「重心が前に突っ込まないように」と話していますが、重心が前に突っ込むと強い打球はほとんど打てません。
これは頭(重心)が前に出てしまうためダウンスイングになったり、泳がされてしまうためです。
佐倉選手はそれまでのバッティングでこのように体が突っ込んで凡退するケースが多かったのでしょう。
決して目立つためや注目を集めるためにフォーム改善したというわけではないことが分かります。
手本、参考にしたのは誰?
個性的な打撃フォームですが、やはりお手本や参考にした選手というのが存在するようです。
佐倉選手は西武の森選手やヤクルト村上選手の動画を参考にしてフォームを研究したと話しています。
参考にした選手①西武・森友哉選手
ご覧いただくと分かりますが頭が全く動いていません。
重心が突っ込むクセを修正するためのお手本としては最適なのではないでしょうか。
さらにはお互いガッシリとした体格面でも似ている部分があり、参考になることは多かったと思われます。
参考にした選手②ヤクルト・村上宗隆選手
パワーヒッターでありながらこの力感の無さはちょっと他ではお目にかかれません。
まさに全身を使ってバッティングしているという印象です。
ホームランバッターとして憧れる存在であることは間違いないでしょう。
佐倉侠史朗選手のドラフト評価は?
ここで少々気の早い話ですが、佐倉選手のドラフト評価について掘り下げてみようと思います。
このまま順調に行けば、2年後のドラフトの目玉になることはほぼ確実。
そして既に錚々たるメンツが彼のことを評価しているようです。
佐倉選手への具体的な評価
ソフトバンク・小川一夫GM補佐
「1年生としては非常に能力が高く、バットの出が速い。(花巻東の)佐々木君と共通しているのはパワーも柔軟性もある点。打つことに関しては楽しみで、可能性を見せてくれる」
巨人・水野スカウト部長
「九州国際大付の佐倉君もいい。ひと冬ふた冬越えて、大きな選手になってほしい」
巨人・武田スカウト
「将来的にはヤクルトの村上タイプになるかなと楽しみにしている」
楽天・後関スカウト部長
「九州国際大付の4番(佐倉)も1年生で2年後が楽しみ」
佐倉選手が参考、目標としている村上宗隆選手の名前も挙がるなど、プロのスカウトからもかなりの高評価であることが分かります。
ライバルへのリスペクトも忘れない
何かと比較されることが多いであろう花巻東の佐々木麟太郎選手についても佐倉選手はコメントしており
「佐々木君はぜんぜん自分よりもすごいバッターで、ホームラン数もすごい。これまでは佐々木君を意識して、長打にこだわりすぎるところもあったんですけど、今日は相手投手との戦いに集中することができたと思います」
と、ある試合後のインタビューで答えています。
血気盛んな若者ですから火花バチバチかと思いきや、ライバルへのリスペクトも忘れない…そんな器の大きさも感じさせます。
佐倉侠史朗、独特なフォームの理由は体が突っ込まないための工夫から生まれていた!
センバツ高校野球で大注目の九州国際大付・佐倉侠史朗選手の打撃フォームについて掘り下げてきました。
かなり独特なフォームですが、その背景には体が突っ込んでしまわないようにするための工夫と試行錯誤があったことがお分かりいただけたと思います。
さらには西武・森友哉選手や、ヤクルト・村上宗隆選手など、球界を代表する強打者からも様々な点を取り入れた打撃フォームです。
こうした見た目のインパクト大な選手が活躍することでまた更に関心が高まるでしょうし、恵まれたライバル達と鎬を削ることでますます盛り上がるでしょう。
日本野球界の未来を明るく照らしてほしいですね。