北海道日本ハムファイターズから無期限出場停止処分を受けていた中田翔選手が8月20日、読売ジャイアンツに移籍することが発表されたのはご存知の通り。
しかしながら暴行事件という大問題を起こし世間をこれだけ騒がせた以上、出場停止処分は継続されると誰もが思う中、その日のうちに処分は解除。
さらに21日にはアッサリと一軍登録され試合出場が可能に…そして実際に同日デーゲームで行われたDeNA戦にベンチ入り。
6回の勝ち越し機に代打で登場し、巨人デビューを果たしました。
これにはネット上でも非難と疑問の嵐。
- 今シーズンは出場停止じゃないのか!
- 移籍しただけで処分解除なの?
- いくらなんでも早すぎるだろ!
などの声が続出。
この記事では中田選手がなぜすぐに試合出場できるのか?その理由や背景について迫っていきたいと思います。
もくじ
中田翔選手の処分解除に対する世間の声
これだけの大騒動ですからね。
処分からわずか10日程度で解除というのはいかにも早すぎるという声は当然と言えます。
中田選手はなぜすぐ試合出場できる?
それではなぜこんなにも容易く中田選手は試合出場が可能になったのでしょうか。
その理由は
- 野球協約の不備
- そもそも出来レースだった可能性
の2点がありそうです。
野球協約の不備
中田選手が暴行事件により出場停止処分とされたのは
野球協約第60条(1)項を適用して、コミッショナーにより「出場停止選手」として公示された
ためです。
野球協約第60条(1)項の内容
この野球協約第60条(1)項は、要約すると
選手が所属している球団、もしくはコミッショナー、またはその両者が出場停止処分を科した場合、コミッショナーによりその旨公示され、出場停止選手名簿に記載される
というもの。
また、その対象や処分については
①不品行であったり、
②野球規則及び、セントラル野球連盟、パシフィック野球連盟それぞれのアグリーメント(協定)に違反した場合
①適当な金額の罰金、または
②適当な期間の出場停止、もしくは
③その双方が科されます。
また、コミッショナーにより出場停止選手として公示され、出場停止選手名簿に記載されます。
出場停止処分を科された選手の復帰タイミングは、出場停止期間の終了時となります。
となっています。
以上が野球協約第60条(1)項の内容です。
中田選手の出場停止はコミッショナーからの処分ではない
中田選手に出場停止処分を課したのはあくまで所属チームだった「日本ハムファイターズ」です。
これはつまり”無期限”とした出場停止処分の解除権も日ハムが持っていることになります。
中田選手はコミッショナー、つまりNPBからの処分は一切受けていないことになります。逆に言えばNPBは中田選手に対して一切、罰則を課していないということです。
NPBからの処分ではないので出場停止解除の時期も日ハムの自由自在ということになり、今回の早期処分解除となったのです。
出場停止処分に関する権限が複数あるのは協約の不備
どんな問題行動であっても出場停止処分の期間や解除時期をチームで勝手に決められるというのは異常です。
主力選手には出場停止期間を短くし、戦力ダウンを最小限にとどめるなど、チーム事情に合わせた処分ができてしまうからです。
今回のような球界を揺るがすような問題行動の場合、しっかりとNPBが出場停止期間を設定する必要があります。
そうしていれば、移籍をしようが何をしようが停止期間が開けない限り、NPB主催の試合に出ることはできなかったはずです。
中田選手がすぐに試合出場が可能になった理由は野球協約の不備にあると言えます。
そもそも出来レースだった可能性
中田選手がここまで早く試合に出場できるようになった背景には、上記のような野球協約の”抜け道”を利用した日ハムと巨人による「出来レース」の可能性があります。
日ハムは中田を放出したかった?
日ハムには“選手の年俸は3億円まで”という不文律があると言います。
中田選手の現在の年俸は3億4千万円。このルールを大幅に超えています。
高額年俸の割に今季は成績が振るわず、かねてから問題行動が目立っていた中田選手がそもそも放出候補だったとしても不思議ではありません。
日ハム・吉村浩という男
日ハムには「吉村浩」というGMがいます。
この男はかなりのやり手で、日ハムの選手獲得や起用法に関して強力な権限を持っているとされます。
チーム編成についても強権を振りかざし、中田選手放出に向けて動いていた可能性もあります。
そして彼なら先述した“野球協約の抜け道”も絶対に知っていたはずです。
吉村GMの筋書き
吉村GMの筋書きはこうです。
中田を放出したいけど、功労者で人気選手なのでクビにはできない
↓
問題行動を待つ、そして暴行事件発覚!
↓
チームとして”無期限出場停止処分”を課して体裁を保つ
↓
自チームでは手に負えない、という理由で他チームへの移籍を正当化
↓
野球協約の抜け道で、シレッと出場停止処分を解除
↓
試合に出す出さないは巨人さんの判断です、というスタンスを取る
こうすることで、体よく不良債権化していた中田選手を放出し、すぐに試合に出場させるということへの批判も巨人へと向けさせることができます。
巨人移籍は既に決まっていた可能性すら
今回、中田選手の暴行事件から巨人移籍までの流れで最も不思議なのは結末までのスピードです。
これだけの大物で高額年俸選手の移籍が、たった10日足らずで決まるものなのでしょうか?
吉村GMと巨人首脳陣の間で
こういう事態になったときはこの流れで
という台本が、既に出来上がっていたのではないでしょうか…
中田選手がすぐに出場できるのは野球協約の不備!
今回の騒動の裏に日ハム・吉村GMの陰謀があるとしても、根本的な原因は野球協約の不備にあると言えます。
出場停止処分に関する権限が複数存在するのは問題であり、その抜け道を上手く利用されてしまった格好です。
NPBには選手の問題行動への処分に関する規約を今一度見直す必要があるのではないでしょうか。