見たい、聞きたい、話したい…
ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
2015年発行

「こんなとこにもTPP」のはなし。2015.11.10.thu

何かと話題のTPP。

ニュース等で取り上げられるのは食料品、主に農作物が中心ですが、影響は思わぬところにも出ます。

何とTPPで盲腸の手術が700万円になる時代がやってくるかもしれないのです。

日本は「国民皆保険制度」といって、会社員でも自営業者でも基本的には公的な健康保険に加入しています。

もちろん月々の保険料負担は必要ですが、この制度によって我々が実際に払う医療費は3割で済んでいます。

さらに日本政府が医療機関や製薬会社に極端な値上げをしないように働きかけていることや、高額療養費制度もあり、医療費負担額はとても低く抑えられています。

それに対し、アメリカの医療制度は完全に弱肉強食。

公的な保険には高齢者や米軍勤務者など一部の人間しか加入できないため、一般の人は民間の保険に加入するか、

勤務先が提供する団体保険に加入する必要があります。

アメリカの一般的な4人家族の場合、年間に支払っている保険料の平均額はおよそ100万円と言われています。

日本の場合はこの半分です。

また、アメリカでは製薬会社と保険会社が結託し、

医療費や薬の値段をどんどん値上げして、病人から金を搾り取っているという話もあります。

この恐ろしいシステムを産み出した奴らが次のターゲットにしているのが日本。

TPPを盾に薬の値上げを要求し、医療費を高騰させることで、

国が現在のように7割も医療費を負担できないようにしてやろう、という腹です。

そして日本の医療保険制度を破綻させ、そこにつけこんでアメリカの民間保険会社が入り込んでくる、というシナリオだと言います。

さすがに日本政府もアホじゃない、

薬の値上げなんか簡単に許すわけがない、と思うところなのですが、

TPPにはこれまた恐ろしい取り決めがあります。

「相手国に投資した企業が、相手国の政策によって損害を被った場合、相手国を提訴することができる」という『ISD条項』なるものがそれです。

つまり「薬の値段を上げろ!言うたのに、日本さんが拒みはるからウチの製薬会社は大損こいてしもたんやで!訴えたる!」ということが可能なわけです。

アメリカ人は関西弁ではないでしょうが・・・いやはや、訴訟大国アメリカの都合のいいようにできています。

とにかくTPPに関しては「知らないこと」でなく「知れないこと」が多過ぎるようです。

どれだけ野菜が安く買えるようになっても、健康でなければそれを食べることすらできません。(N)