2024年4月、女子プロ野球が復活します!
…って、あれ?女子プロ野球って今までも普通にあったでしょ?と思ったそこのあなた!一時話題になったあの女子プロ野球は、2021年夏に事実上消滅しています。
それからおよそ3年の時を経て復活する女子プロ野球なのですが、ネット上では手厳しい意見が…
- 女子は正直レベルがなぁ
- こればっかりは無理やろ
- もう阪神とか西武がチーム持ってるじゃん
など、その必要性を疑う声も多数挙がっているのです。
この記事では、復活する女子プロ野球について詳細や背景を掘り下げながら、要不要論に関しても考察していきたいと思います。
もくじ
女子プロ野球復活に対する世間の声
プロ野球で女子チーム復活の兆しがあるけど、とくにプロの世界は興行成績が全てなので厳しいってところかな。
— えくす@💉PPP&P-BA4-5 (@ExwoodPorta) August 23, 2023
やはり厳しい意見が並びます。中には既に胡散臭さまで感じている方もいるようです…。
女子プロ野球復活の詳細
まずは女子プロ野球がどのような形で復活するのかを見ていきます。
WPBSL女子プロ野球スーパーリーグ
女子プロ野球は「WPBSL女子プロ野球スーパーリーグ」として復活します。運営会社は”女子プロ野球スーパーリーグ”となっています。
理念
スーパーリーグの理念は以下の通り↓
スーパーリーグは女子野球のすばらしさを全国に伝えたいという思いが出発点となって発足しました。スーパーリーグは、応援してくださるファンの皆様や地域の方々に「夢」と「感動」を届け続けるリーグ運営を目指します。
まあこの辺りは至極まっとうというか、可もなく不可もない文書が並んでいますね。
参加チームは?
こうなると気になるのは参加チームです。
スーパー「リーグ」と銘打っていることから、当然リーグ戦を行うことになるのでしょうが、まともなリーグ戦を組もうと思ったらそれなりの数の参加チームが必要です。しかし…
初年度は、栃木県と埼玉県を本拠地とする2球団で開幕いたします。
とのこと。
2チームということはリーグ戦というより対抗戦ですね。さすがに物足りない感が否めませんが、立ち上げ初年度ではこれが限界なのかもしれません。
もちろん今後チーム数を増やしていく計画であろうことは明白です。盛り上がりに応じてスポンサーがつけば、参加チームは自ずと増加していくでしょう。
年俸や給与は?
参加チームに次いで気になるのは年俸や給与といった金銭面。仮にも「プロ」と名乗る以上、魅力のある収入が見込めるレベルなのでしょうか。
発表によると
- プロ契約 400万円+出来高+勝利給
- 育成契約 240万円+勝利給
となっています。
ここに関しては意外と高い水準なのではないでしょうか。NPB球団(男子)の2軍の最低年俸が440万円なので、それに匹敵する額というのは魅力的と言えるでしょう。
もちろんそれなりの金額にしないと人が集まらないという台所事情もあるのでしょうが…。
消えない懸念材料
一度は消滅したプロの仕組みが復活し、給与面でも悪くないとなれば、明るい未来が開けていると思いたいところですが、はっきり言って不安は拭えません。
いやむしろ懸念材料の方が遥かに多いのが現実です。
レベルの問題
やはり最も懸念されるのは、プロスポーツとしてのレベルです。
興行である以上、観る側はお金を払って観戦するわけですが、それに値するプレーや魅力が女子プロ野球にあるのかというのは非常に大きな問題です。
参加選手のレベルは…
この女子プロ野球、参加する選手は募集によって集められることになっています。この時点で既にちょっと「大丈夫かよ」感がありますが、その応募資格は
- 2024年4月2日時点で18歳以上の女性(2024年3月に高校卒業見込みの選手可)
- 2024年シーズンに他の硬式野球チームや硬式野球部に所属していないこと。
- 2023年シーズンの所属が硬式野球チームでなくとも受験可。
- 野球未経験者でも過去にスポーツ経験が有れば受験可。
- スーパーリーグ加盟チームの活動に優先的に参加できること。
とのことであり、良くも悪くもかなり間口が広いものになっています。
これらの条件を満たした応募者の中から、1次テストの書類審査と、2次テストの実技テストを通過した選手が実際にプレーをすることになるわけですが、4つ目「スポーツ経験者であれば野球未経験者でも可」というのは、合格者であってもレベルを疑いたくなってしまいますよね。
しかし、女子野球の競技人口を考えるとこれも致し方ない処置と言えます。間口をできる限り広げないと、チーム編成もなかなか厳しいものになってしまうでしょう。レベルの高い選手だけをセレクションするということ自体が難しいのです。
以前の女子プロ野球の試合
↓は消滅してしまった以前の女子プロ野球の試合動画です。試合は動画の17:00〜始まります。
まあ、プレーのレベルはお察しの通りです。男子並みの球速やスピード感を求めるのは無理だと分かっていても、全体のモッサリ感はもうどうにもしようがありません。
レベル的には甲子園の高校野球にすら遠く及ばない…中学生でもトップクラスの試合ならばもっとダイナミックさがありそうです。
これは2019年の試合なので、この数年間で女子野球のプレーレベルが格段に上昇したとは考えにくく、来年に復活するリーグでも似たようなレベルの試合が繰り広げられるはずです。
しかし別にこれは優劣の話ではなく、女子野球の特性であるということだけは強調しておきます。
NPBの球団が持つチームとの差別化
女子野球に関してはNPBも放置しているわけではなく、女子のチームを保有している球団があります。それが阪神タイガース、埼玉西武ライオンズ、読売ジャイアンツです。
これらのチームはプロではありませんが、男子のチームと同じユニフォームを着て同じ練習場や練習用具を使用しています。
プロではないが満足感や充実度は…
NPBの球団が持つ女子チームはプロではないので、所属選手達は学業や仕事をしながら野球をしています。
一見すると辛く苦しい状況のように見えますが、実際のところ憧れのプロ野球選手達と同じユニフォームを身に纏い、彼らと近い環境下で野球ができる満足感や充実度は高いはずです。
それだけNPBの球団のブランド価値が高いというのもありますが、それより何より女子選手達だってNPBの試合を見て野球ファンになり、NPBの選手達に憧れ、そこから自分自身もプレーをするようになったはずです。
「あのユニフォームを着て試合ができる!」というのは何物にも代えがたい意味があり、既存のNPB球団の女子チームを増加する方が効果的という見方もできます。
そうなると、新たに球団を設立して女子野球を無理にプロ化する必要性があるのか?という話になってくるのです。女子チームのプロ化は、NPB野球との差別化をどのようにするのかという点が大きなポイントとなってくるでしょう。
以前の二の舞になる危険性
先述した通り、多くの方が知る女子プロ野球は既に事実上の消滅をしています。
この女子プロ野球、あたかも多くのチームが参加していたかのように思われていますが、実際はサプリメント販売大手「わかさ生活」がワンマンで運営していたものでした。
赤字の垂れ流しで消滅
一時は大きな注目を集め多くのファンを獲得したかに見えた女子プロ野球でしたが、持続的な人気にはならず、結局は赤字垂れ流しとなり、まともに給料も支払えず選手達が次々に退団。
最後は所属選手がわずか3人となり、リーグ戦どころか1チームすら編成できない状態となりついに消滅しました。
終盤は大の高校野球ファンであったわかさ生活の社長が半ば道楽で維持していただけで、女性にも野球ができる場を提供したい!という理念がありながらも断念せざるを得なくなったのです。
赤字の原因は言わずもがな、まともな観客動員がなかったことです。どこまで行っても興行であるプロの世界は、お金を払って観に来てくれる人がたくさん居て初めて成立します。
当時の女子プロ野球には、残念ながらそこまでの魅力がなかったということであり、プロスポーツというものはいかに崇高な理念があっても、先立つものがなければ維持継続はできないという冷たい現実がそこにはあるのです。
劇的な変化は?
消滅してしまった女子プロ野球がなぜ観客動員数を伸ばせなかったか…原因は様々でしょうが、やはり競技としてのレベルが高くなかったことは大きなポイントだと思われます。
そして2024年に復活するリーグでも、ほぼ間違いなくその競技レベルは以前と大差ないでしょう。いや、NPBのチームがいくつか誕生している今、レベルの高い選手が分散し、むしろ以前より低くなってしまう可能性すらあります。
つまり女子プロ野球は、根本的な問題が解決しないまま再び立ち上がるということであり、わかさ生活の二の舞になる危険性は非常に高いと言えます。
女子プロ野球の存在意義・価値を明確に!
だからと言っていきなり女子野球の競技レベルを爆上げすることは不可能です。急務となるのは、女子プロ野球としての存在意義や存在価値を明確にすることです。
単に「女性にも野球のできる環境を」とか、「夢や感動を届けたい」とか、表面的なことを打ち出すのではなく、もっとシビアに「女子プロ野球をビジネスとして成功させる」という意志が必要です。
なぜなら、女子プロ野球という仕組みがビジネスとして恒久的なものにならなければ、リーグそのものの拡大や発展、進化は望めないからです。
一瞬だけ注目されその後は尻すぼみ…赤字を垂れ流していつの間にか消滅…しばらくしてまたどこかで誰かがイチから立ち上げ…の繰り返しでは、いつまで経っても女子野球のレベルは上がらないでしょう。
「女性ならではの武器」を駆使せよ、の声もあるが…
女子プロ野球の成長・発展に関しては、ネット上でも「女性ならではの武器」を使えという声が多く聞かれます。
こうした声はわかさ生活運営時代から多くあり、決して褒められた意見ではないですが一定数の需要があるのは間違いありません。
しかしながら昨今の時代背景がそれを許すはずはなく…こうした要望が実現することはないでしょう。
まあさすがに水着というのはあまりにも露骨すぎるとはいえ、女性らしさ、可愛らしさや華やかさを演出するのは戦略として十分アリな気もしますが、今はそれすら難しいんですかねぇ…。
まとめると女子プロ野球は現在
- 競技レベルは正直低く、急な上達も当然不可能
- NPBの球団が女子チームを持ち始めており、それは下手なプロチームよりも存在価値が高い
- 「女性ならではの武器」を使おうにも時代がそれを許さない
という、非常に厳しい状況に立たされているのです。
女子プロ野球が復活!…するけど前途多難
2024年に復活する女子プロ野球について迫ってきました。
以前存在した女子プロ野球とはまた別の形で旗揚げとなるわけですが、順風満帆とはとても言えない状況であることがお分かりいただけたと思います。
まあ、実際に動き出す前からネガティブなことばかり言っていても仕方ないので、女子プロ野球スーパーリーグがいかにして独自の存在意義を示していくのか、楽しみにしたいところです。
そして女子野球の存在意義や価値が日本中に浸透することを願っています。野球界の発展のためには、男女問わず多くの人が野球に触れ、その楽しさを次の世代に伝えていくことが最も重要だと思うからです。
↓WPBSL女子プロ野球スーパーリーグホームページ↓