見たい、聞きたい、話したい…
ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
NewPost 2021年発行

【ウマ娘】プロフィールは史実に沿っているのか?比較その4 ~ヒシアマゾン~ 2021.5.13

プロフィール比較の第4弾は「女傑・ヒシアマゾン」です。

プロフィール

それでは早速ウマ娘「ヒシアマゾン」のプロフィールを見てみましょう。

何かとタイマンで勝負したがる、熱血肌の姐御。
野蛮に見られがちだが、相手が勝てば、その強さを称える潔さも持っている。
美浦の寮長で血の気が多い反面、料理選択掃除も大得意。あらゆる場面で頼りがいのある存在である。
雷や幽霊にはからっきし弱い。

なるほど。

それでは一つ一つ比較していきましょう。

タイマン上等の女傑

まずもってヒシアマゾンに付けられた「女傑」という言葉の意味を調べてみました。

すると“女性で特に知勇にすぐれたもの。男まさりの女性”と出てきました。

そう、ヒシアマゾンはメス馬なんですよね。オス馬もみんな女体化してしまうウマ娘内において、メス馬がそのまま美少女キャラになるのはなぜか相対的に違和感があまりありません。

そしてキャラクターになっている競走馬の一覧を見ると、オス馬の比率が圧倒的に高い。もちろんキャラクターのモデルになる馬はG1レースを複数回勝利するような活躍馬ばかり。

これはつまり「オス馬の方が競走馬として優れていることが多い」ということを意味します。

そしてそのオスメスの差というのは、今よりも過去の方がより鮮明でした。

だから「女傑」というのは本当にヒシアマゾンの存在を明確に言い表した素晴らしいキャッチコピーです。

残念ながらウマ娘「ヒシアマゾン」のプロフィール内に女傑の言葉は入っていませんが(そりゃみんな女なんだから当然ですが)競馬界で女性の強さを本当の意味で示したのはヒシアマゾンが最初です。

「タイマンで勝負したがる」というのは、強いオス馬相手にも怯まない彼女の真の強さを表現しているのだと思います。

逆境を覆す強さ

ヒシアマゾンは外国産馬というカテゴリーの馬で、その言葉の通り生まれは海外です。アメリカで生まれた彼女を日本の馬主さんが購入し日本で走らせたため「外国産馬」という扱いになったのです。

ということでヒシアマゾンは外タレです。いや、タレントではないか…。とにかく外国産馬であった彼女には、当時のルールで出走できるレースに大きな制限が設けられていました。

その制限の中で最も可哀想なのは「クラシック競走」と言われる、競走馬人生で一度しか走れない華やかな舞台への出走が認められていなかったことです。

具体的には「桜花賞」「オークス」という、メス馬であれば誰もが目指し憧れるレースに出走することができなかったのです。

ところが彼女は強かった。

他の同世代の馬と比較しても、頭ひとつ抜けた存在であることは誰の目にも明らかでした。

もし彼女が桜花賞やオークスに出走できていたら…

競馬ファンみんながもどかしい思いを抱えていたのです。

彼女のレースぶりはスタートから後方に控え、最後の直線で他馬をブチ抜く追い込み戦法。

ウマ娘プロフィールの「熱血肌」は勝負根性ムキ出しで追い込んでくる彼女の姿から連想されます。

姐御肌?乙女の心を閉じ込めて…

パワフルな走りでファンを魅了するヒシアマゾンですが、普段は本当に人懐こくて甘えん坊だったと言われています。

これを見るに、実際のヒシアマゾンはものすごく乙女だったのではないかと思うのです。

ですが牝馬(メス馬)としての生きる道を後世の馬達に示すという、自分の役割を分かっていて強気に振る舞っていたのではないか…そう思うのです。

ギリシャ神話の中のアマゾン族は、好戦的な女性ばかりの一族です。

彼女たちは自分たちを攻撃してくる敵を弓で射るために、邪魔にならないよう右の乳房を切除していたと伝えられています。

女性の象徴を封印してでも、自らに課せられた運命の道をひた進む…ヒシアマゾンの競走生活に通じるものがあります。

爆発的な強さで連勝街道を進むヒシアマゾン。3歳(旧4歳)の秋には、エリザベス女王杯というG1の舞台で同い年のオークス馬を下し勝利します。

これで世代最強は確定。ここからの相手はオス馬達であり、年上である古馬達であり…メス馬にとっては辛く苦しい戦いとなっていくのです。

しかしアマゾンはめげませんでした。その後のグランプリ有馬記念では、同い年で当時史上最強の呼び声高かったナリタブライアンに勝負を挑み堂々の2着。

一時はアメリカ遠征の失敗等の影響で成績を落としますが、4歳の秋には世界の名馬が集うジャパンカップでも2着に好走。

その強さを世界に証明したのです。

これを見て「なんだ、2着ばっかじゃん」と言うなかれ。

当時、牝馬はオス馬を相手に善戦すらできないのが当たり前でした。

それどころか、オス馬との勝負を避け牝馬限定のレースを中心に走るのが普通だったのです。

そんな中で「王道路線」と言われるG1競走に出走し、しかも好走することは異例中の異例だったのです。

こうして「女でもやればできる」ことを証明してみせたヒシアマゾン。

プロフィールにある「姐御」というのは、彼女が切り開いた道を多くの後輩達が歩んだことからイメージされたのではないでしょうか。

レースで見せる激しい勝負根性はたしかに「野蛮」と受け取られることもあるでしょう。

でも彼女の何がいいって、ここぞというときには2着に負けちゃうんですよ。

めちゃくちゃいじらしくないですか?

どんなに強い相手にも怯まず挑む…でも最後はやっぱり負けちゃう。こんなに潔くて可愛らしい牝馬はいません。

先駆者こそ至高

ウマ娘プロフィールには「料理選択掃除も大得意」とあります。

ヒシアマゾンの「実は乙女」な部分をウマ娘の運営も感じてくれているのだとしたら嬉しい限りです。

その前の「美浦の寮長」という部分は先ほどの姐御や先輩としての存在感にも繋がるでしょう。

「血の気が多い」もオス馬との対等な勝負をイメージさせます。

つまりヒシアマゾンは「先駆者」なんです。

女性(牝馬)としての生き方、戦い方を世に示した先駆者です。

ヒシアマゾンよりも後に走った牝馬で、彼女よりG1を多く勝ったりオス馬を多く倒した馬はたくさんいます。

でもそれは「牝馬でも戦える」ことを証明したヒシアマゾンの存在があったからこそではないかと思うのです。

「あらゆる場面で頼りがいのある」というイメージは、先駆者としての役割を果たしたことで得られた結果です。

彼女が開いた道を歩む後輩達は、ヒシアマゾンの存在を頼りにこれからも進んでいくのでしょうから。

そして個人的には「先駆者こそ至高」です。

だからアーモンドアイがG1を9勝しようが賞金をどれだけ稼ごうが「オレの史上最強牝馬」は誰が何と言おうとヒシアマゾンなのです。

ただ…プロフィールの最後「雷や幽霊にはからっきし弱い」の部分に関連するエピソードがどれだけ調べても出てきません。

強いて言うならアメリカ遠征時に原地が歴史的な豪雨に見舞われたというのが雷と繋がりますが…幽霊の方は全く分かりません。

もし有名なエピソードがあるなら競馬ファンとしてお恥ずかしい限り…

ご存知の方がいたら教えてください。(N)