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2021年発行

勝南桜に引退は強制されない?100連敗でも現役を続けられる理由とは?

大型連敗が注目される序ノ口の勝南桜(式秀部屋)が、7月10日の取組で京の里(伊勢ノ海部屋)にあっさりと寄り切られ、ついに100連敗に到達してしまいました。

これで通算成績は3勝234敗1休。平成31年初場所から続く黒星街道はいつ終わるのか…というよりも、もはやこんな成績で引退させられないのか不思議に思う方も多いと思います。

この記事では、

  • 勝南桜は強制的に引退させられないの?
  • 100連敗しても現役を続けられる理由は?
  • 勝南桜の問題点は?

といった疑問にお答えしていこうと思います。

勝南桜は強制的に引退させられない?

とにかく負け続ける勝南桜。まずはそのプロフィールにも少し触れておきましょう。

プロフィール

勝南桜 聡太(しょうなんざくら そうた)

出身地 神奈川県茅ヶ崎市

生年月日 1998年7月16日(22歳)

本名 服部祥太(はっとりしょうた)

身長/体重 179.5cm/82㎏

所属 式秀部屋

初土俵 2015年9月

改名歴 服部桜 祥多→服部桜 太志→勝南桜 聡太

こんなに負ける力士はいない

勝南桜が現れるまで、角界の連敗記録は森川(現・森麗(もりうらら))が03~04年にかけて喫した「32」でした。

「100」連敗という記録がいかに異常かが分かります。

そして普通は序ノ口で7連敗を喫するような力士は自分で“適性なし”と判断して辞めていくのだそうです。

このように、勝南桜は極めて異例の存在なのです。

強制的に引退させられない?

それでも勝南桜は親方や相撲協会から強制的に引退させられることはありません。

引退の強制は、大相撲の世界には原則としてないということになっています。

その昔は存在した「リストラ」

かつての相撲界には事実上の「リストラ」が存在していました。

1950~60年代、初土俵から一定期間内に幕下に昇進できない力士には補助費の支給を停止し、引退を促していたのです。

これは増え続ける力士の数を調整し、人件費を抑えちょうどいい取組数を維持するために必要なことでした。

新弟子が不足が顕著になると…

大相撲の世界に入門してくる新弟子は、ピーク時には毎年250人を数えたといいます。

しかし2000年代に入ると激減。最近では70人前後にまで減っています。

どの部屋も力士確保に苦しみ、せっかく入門してくれた新弟子を強制的に引退させることなどあり得なくなっているのです。

必然的に息の長い力士が増え、最年長は序二段にいる51歳という状況になっています。

とても格闘技の一線級で戦える年齢ではありませんが、ルール上は年齢や成績にかかわらず、本人に現役続行の意志がある限り引退させられることはないということになります。

100連敗しても現役を続けられる理由

どんなに負けても本人にそのつもりがなければ引退する必要はありません。

これが現役を続けられる根本的な理由なのですが、相撲部屋にも現役でい続けてほしい理由があります。

強い力士を育てるために

相撲部屋はもちろん力士を鍛え上げ強くする場所ですが、当然のことながらその運営には資金が必要になります。

強い力士を育成することは相撲協会にとっても至上命題であり、その育成を担う相撲部屋にはお金を払ってでも成果を上げてもらわなければならないのです。

力士が部屋にいるというだけで…

部屋には「力士養成費」「土俵維持費」といった名目で、力士一人あたり30万円が毎月協会から支給されます。

これは力士の年齢や成績によって左右されるものではありません。

部屋にいる力士の人数分がきっちりと入ってくるのです。

とにかく頭数を揃えたい

相撲部屋からすればとにかく1人でも多くの力士を部屋に置いておきたいと思うのは当然のことでしょう。

本人にその気がないのに無理やり現役を続けさせることはないとしても、やる気があるならばいて欲しいというのが正直なところではないでしょうか。

勝南桜の問題点

強制的に引退させられることはない勝南桜ですが何かとお騒がせな力士でして…

敗退行為

勝南桜はまだ服部桜という名前だった2016年9月の場所で、強敵との取組でわざと負けたのではないかという疑惑を持たれ問題となったことがありました。

↓そのときの動画、左が勝南桜(当時・服部桜)です

この時には師匠である式秀親方が相撲協会から事情聴取を受ける事態にまで発展しています。

成長が見られない

大相撲の世界に入ってもう5年以上が経過しているにもかかわらず、一向に増えない体重と筋肉。

そしていつまで経っても「四股が踏めない」「すり足ができない」「鉄砲ができない」と、なかなか成長が見られません。

成長の速度は人それぞれですが、基礎中の基礎ができるようにならないのは努力不足と言われても仕方ありません。

取組の映像を見る限り、土俵際で懸命に粘り最後まで勝利を諦めない姿や、何より相撲から逃げず必ず土俵に立とうという意気込みは感じられます。

100連敗も100連勝も、100回続けて土俵に立たない限り達成されることはありませんから…

まとめ

連敗力士・勝南桜の引退や現役を続けられる理由について解説してきました。

この不名誉な記録について本人は一体どう思っているのか、本音を聞いてみたいところです。

兎にも角にも、勝南桜は今までの価値観をブチ壊す、新時代の力士であることは間違いなさそうです。