東京五輪「野球」の詳細日程が発表されました。
開催国で世界ランク1位を維持した野球日本代表「侍ジャパン」はグループA。同5位のメキシコ、同7位のドミニカ共和国と同組となります。
グループBは世界ランク3位の韓国、同4位のアメリカ、同24位のイスラエルの3カ国。
組み合わせも決まり盛り上がる一方かと思いきや、根強く叫ばれるのがオリンピックにおける「野球不要論」。
この記事では、野球不要論が叫ばれる理由を
- 参加国
- トーナメント表
の2点から掘り下げていこうと思います。
もくじ
参加国はわずか…
東京五輪の参加国は先に挙げた通り日本、メキシコ、ドミニカ、アメリカ、韓国、イスラエル。
つまり東京五輪の「野球」はわずか6ヶ国で行われることになります。
半分がメダル
オリンピックのメダルはどの競技においても金・銀・銅の3種類です。
野球は参加が6ヶ国ということは、2分の1が何らかのメダルを獲得することになります。
オリンピックにおいてこんな競技は前代未聞です。
なぜ6ヶ国
野球はオリンピックの正式種目ではなく“追加種目”です。
参加国の少なさはここに理由があり、国際オリンピック委員会(IOC)は追加種目に出場できる選手の数の上限を500人までとしたのです。
野球のほかにも、ソフトボールや空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンが追加種目となっており、その調整のために野球への参加国数が制限されたのです。
世界的にはマイナースポーツ
先ほど野球はオリンピックの正式種目ではないと言いましたが、1992年のバルセロナ大会から2008年の北京大会までは正式種目として行われていました。
しかしそのときでも参加は8ヶ国。今回とあまり変わりません。
これは野球というスポーツが世界的には非常にマイナーなものであることが原因です。
世界中で野球の競技人口は3,500万人とされています。
しかしその内の60%以上が、日本とアメリカで占められています。(日本735万人、アメリカ1,400万人)
オリンピックのような世界大会を開いても、そもそも同等レベルで戦える国が数カ国しか存在しないのです。
オリンピックに必要か
厳しい言い方になりますが、そんなスポーツが本当にオリンピックに必要ですか?という話です。
野球を行うには巨大な競技場も必要で、そんな施設を用意しても日本とアメリカの試合しか観客がロクに入らないとなると、リスクだけが高いという状態になるのです。
マイナーなスポーツというのは他にも多く存在しますが、その中でも野球はお金がかかりすぎるのが不要論の大きな理由です。
負け越しでもメダルの謎トーナメント
そうした理由で参加国が6つしかない状態なので、トーナメント表もとても“いびつ”なものになります。
1次リーグ全敗でも金メダル?
実際のトーナメント表をご覧ください。
これは決勝トーナメント、つまり金メダルをかけて争うためのトーナメント表です。
それなのに、A組とB組に分かれて行われる1次リーグの1位~3位すべてが決勝トーナメントに名を連ねています。これはどういうことか・・・
1次リーグ全敗(2敗)の最下位でも金メダルの可能性がある、ということです。
異常です。1次リーグの意味がありません。
他の競技では絶対にあり得ない金メダリストが生まれてしまう可能性があるのです。
さらに言うと、全勝どころか4勝3敗でも金メダル、3勝4敗でも銅メダルの可能性があります。こんな条件では不要論につながってしまうのも当然です。
運営側も困惑
これには世界野球ソフトボール連盟(WBSC)も困惑しています。
WBSCのリカルド・フラッカリ会長は、この状況に対し
「奇妙な競技方式のせいで対戦カードの調整が難しい」
と苦々しげに語っています。
運営側もその“異常性”は十分に察しているということでしょう。
日本ありきの大会
これは日本が自国開催のオリンピックで、その運営やマネジメントに多額のお金を使うことができるから成立するだけです。
先述の通り、世界的にはマイナースポーツである野球は日本とアメリカの存在なくしては国際大会もまともに開催できません。
“野球”の五輪大会が“開催国である日本”の意向(日本が儲かる仕組み)で執り行われることはもはや規定路線・・・というより他に方法がないと言えます。
国際貢献と割り切った方がいい
五輪野球に関しては、オリンピックの種目というよりも単独の国際大会と考えた方がいいでしょう。
日本がお金をかけて行う、野球というマイナースポーツを世界に広めるための「国際貢献」だと割り切ったほうが、分かりやすいかもしれません。
渦巻くメダルへの報奨金に対する批判に関しても、将来を見据えた先行投資だと思えばいいのです。
まとめ
オリンピックにおける野球不要論について解説してきました。
ご存知の方も多いと思いますが、野球は今回の東京大会を以ってオリンピックの競技種目から外されます。
理由はここまで述べてきたような事柄が大きく影響しているわけですが、現状では不要論が叫ばれるのも致し方ないと言えそうです。
それでも侍ジャパンの活躍を楽しみにしている人々も多く、選手達にはそうした批判の声を吹き飛ばすような奮闘を期待したいと思います。