元千葉ロッテの清田育宏氏が、コロナ禍で不要不急の外出をしたことなどを理由にロッテから契約解除されたのは違法で無効だとして東京地裁に提訴したこの問題。
選手としての地位確認や計9,700万円の損害賠償を球団に求めたとされています。
この「不要不急の外出」とされるのが、不倫女性との密会であったことから清田氏には世間から大バッシングが!
しかしその提訴の内容が明らかになるとネット上では…
- たしかに契約解除の理由としては妥当じゃないな
- けっこうな確率で清田勝てるんじゃね?
- これ実際清田有利だろ
などの声が噴出。
この記事では、今回の裁判で清田氏が有利とされる背景を掘り下げながら、決着の時期についても考察していきたいと思います。
裁判は清田氏有利だというTwitter上の声
やはり提訴の内容をよく読むと、清田氏が勝訴する可能性は高いと感じる人が多いようです。
清田氏勝訴=NPB復帰ではない
最初に断っておきますが、清田氏が今回の裁判で勝ったとしても、それでNPB復帰となるわけではないことは理解しておかなければなりません。
むしろNPB所属のどこかのチームに復帰という形に関しては、こんなお騒がせ男を今からわざわざ獲得する球団が現れるとは思えないことから、極めて難しいと思われます。
それでも今回の裁判は、あくまで契約解除の無効や、報酬・慰謝料など金銭的な部分を争う裁判です。
単なる「不倫裁判」ではないことが大きなポイントになってきます。
裁判が清田氏有利と言われる背景
それでは、今回の裁判で清田氏側が有利だとされる背景について解説していこうと思います。
プロ野球選手は「労働者」なのかどうか
一般的な労働者に関して労働契約法17条は、契約期間中の解雇などについて
「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」
と、高いハードルを設定しています。
プロ野球選手は個人事業主というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、「労働組合法」の上では労働者とされているのです。
つまり、本当にやむを得ない事情がない限り、球団が選手との契約を不当に解除することは許されないことになります。
コロナ禍での外出が「やむを得ない事由」か
ロッテ側は清田氏との契約解除の理由を
- 謹慎処分を解除した球団の社会的評価が低下し、批判の声が寄せられていること
- 不要不急の外出自粛など、球団の「コロナルール」に違反するといった自己中心的な行為でチームとの信頼関係を傷つけたこと
- 不倫などの不品行な行為を継続したこと
などとしています。
これに対し清田氏側は
- 不倫相手とされる女性とは男女の関係はなく、不倫ではない
- 球団から示されたコロナルールでは外出自粛は求められていたものの、外出禁止とはされていなかった
として、「やむを得ない事由」には当たらないと主張しています。
清田氏程度の問題児は過去にも多数
清田氏の契約解除が不当と思われる理由は、過去のプロ野球界でも似たような問題児が多数いたのに、彼らには契約解除などの重い処分が下っていない点にあります。
今回の清田氏に関しては、不倫相手の妊娠→堕胎といったあまりにもゲスな内容や、キモいLINEのやり取りや手紙などが公開されたため大きな騒ぎとなりましたが、プロ野球界全体から見れば正直これらは氷山の一角でしかないと思われます。
「不倫などの不品行な行為を継続したこと」が契約解除の理由として成立するならば、震え上がるプロ野球選手は他にも数多いるのではないでしょうか。
コロナ禍での外出が問題になった選手も多数
また、コロナ禍での外出が報じられ問題になった選手も多くいます。
阪神、DeNA、西武などでも、球団が外出禁止のルールを設けていたにも関わらず外出をしたとして処分を受けた選手がいます。
それでもその処分は出場停止や自宅謹慎処分などで、契約解除という究極の処分には至っていません。
そもそも不倫やルール違反どころか、過去には脱税や暴力事件で前科前歴がついても契約解除にならなかった選手もいます。中には監督にまで上り詰めたお方も…
清田氏の不倫や不要不急の外出はおそらく事実でしょうが、清田氏だけが異常に重い処分を下されたとの見方も十分に成立するのです。
争点は「労働者性」
以上のことから裁判で争点になるのは、清田氏(プロ野球選手)の「労働者性」ということになります。
清田氏が個人事業主ではなく労働者だと見なされれば、今回の契約解除は不当となる可能性は高いと言えます。
「労働者」であるか否かには報酬も関わってくるため、推定年俸6,500万円とされる清田氏の労働者性がどう評価されるか、注目はそこになってきます。
ロッテ側の謎主張
清田氏有利とされる理由のもう一点は、何とも意味不明なロッテ側の謎の主張です。
改めて今回の原告(清田氏)の訴えを振り返ると
- 正当な理由の無い契約解除の取り消し
- 契約解除通告から本係争開始時までの未払い給与の支払い(3%上乗せ請求)
- 本係争開始時から二年契約満了期日(2022年)までの給与の支払い(3%上乗せ請求)
- 社会的地位が失墜したことによる慰謝料
- 本係争にかかる費用の請求
という主に5つ。
これを頭に入れた上でロッテ側の主張を見てみましょう。
ロッテ「2年契約なんてしてねーし」
清田氏の訴えの中の③に二年契約満了期日までの…とありますが、これに対しロッテは
球団は二年契約を了解していない。原告との契約は一年契約であり、二年契約の存在を前提とした給与の支払いは想定していない
との回答を弁護士を通じて出しています。
しかしこれはどう考えてもおかしい。
複数年契約をメディアでも大々的に報道
清田氏の複数年契約に関しては2020年12月の時点で対外的な報道も出ています。
これが事実でないならば、球団としてはこのような報道が出た時点で清田氏本人及び報道機関に対して説明をしなければいけないはずです。
球団と選手の間がどのような契約形態を取っているのか分かりませんが、何千万、何億円という金額が動くプロ野球選手との契約。
契約書ぐらい存在しているはずですし、「複数年契約をしていない」というのはいくら何でも無理があると思います。
このロッテの主張に関しては何をどう考えても根拠が見当たらないため、裁判でそれをどう証明するのか…
この点も今回の裁判ではポイントとなってくるでしょう。
裁判はいつ決着する?
とにかくお互いの主張が食い違うばかりの今回の裁判。
一体いつ決着するのでしょうか。
一般的な不倫・不貞行為に関する慰謝料請求の場合は…
一般的な不倫裁判の場合、早ければ6か月程度、長ければ1年~1年半程度の時間がかかるとされています。
しかしこの裁判は先述した通りただの不倫裁判ではありません。
問題は意外と根深い?
清田氏のゲス不倫行為やLINE流出などでゴシップネタの印象が強いこの一件ですが、実はプロ野球選手の在り方や、球団と選手の契約システムなど、意外にも根深いところに問題の根本がありそうです。
裁判でプロ野球選手の「労働者性」が問われること、また球団と選手で複数年契約などに関する認識に齟齬がある点など、実は球界の今後を揺るがす判決が下る可能性があるのです。
清田氏の残りの野球人生を考えると…
しかしながら清田氏個人のことを考えるなら、早期に決着をつけるべきです。
清田氏は現在35歳。
年齢的にももうあと何年も現役を続けられるとは思えませんし、何より今が選手としてピークかもしれません。
こんなことで一人の野球人の人生が終わってしまうのはあまりにももったいない話ですし、双方が歩み寄り、穏やかな決着となることを祈るばかりです。
清田育宏、裁判は不利どころか実は有利?早期決着の可能性も
清田育宏氏がロッテを相手取り起こした裁判、意外にも清田氏有利とされる理由や背景について掘り下げてきました。
そこには
- プロ野球選手の労働者性
- 球団(ロッテ)の謎の主張
があり、過去の事例や報道などから、契約解除は不当だという判決が下る可能性も十分だということがお分かりいただけたと思います。
そして清田氏の年齢を考えると、裁判は早期決着が望ましいと思われます。しかし清田氏のイメージがこの一件で地に落ちたことは間違いなく、裁判で勝ったとしても失ったものの方が大きい気はしますが…
いずれにしても、選手が球団を訴えるというのは日本プロ野球界では前代未聞。どのような判決が下るにせよ、その結果には大いに注目すべきですね。