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2022年発行

中日、バンテリンドームにホームランテラスの可能性は…設置されない理由はなぜ?

6年ぶりの最下位に終わった立浪ドラゴンズに、ホームランテラス設置の声が沸き起こっています。

設置に関しては立浪監督自身が「個人的には希望します。ピッチャーは育ちますが、バッターはなかなか育ってこない」と発言するなど、必要性が高まっているのは間違いありません。

ドラゴンズファンもネット上で

  • ホームラン出なさすぎて試合がつまらん!
  • いつまで貧打に苦しめばいいのか…
  • ピッチャーが頑張っても意味がない

といった声を挙げるなど、現状打破への要望は確実に強まっているようです。

この記事では、ドラゴンズの本拠地であるバンテリンドームにホームランテラスが設置される可能性や、なかなか設置されない理由などについて掘り下げていきたいと思います。

ホームランテラス設置に対する世間の声

やはり要望するファンは多いことがうかがえます。

ここ最近はほとんどBクラスでシーズンを終えるドラゴンズ。ファンのストレスも相当溜まっていることでしょう。

ホームランテラスとは?

念のためホームランテラスとは何かについても解説しておきます。

ホームランテラスとは

野球場で本塁打を出やすくするために意図的に外野フィールドの内側に施した柵と、その柵から本来のフェンスの間の空間のこと

を指します。

ホームランが出やすくなることでもちろんチームの成績向上を狙えますが、ホームランの数が増えることでよりダイナミックで緊迫感のある試合が増加し、ファンの満足度も高くなるという効果もあります。

NPBの球団では、福岡ソフトバンクホークス(PayPayドーム)、千葉ロッテマリーンズ(ZOZOマリンスタジアム)、東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天生命パーク宮城)が導入しています。

↑PayPayドームのホームランテラス。外野フェンスの前に設置してあることが分かる

諸刃の剣

ホームランテラスの導入は当然ながら自チームの本塁打数が増えると同時に、対戦相手の本塁打も増えます。

こちらがホームランを打ちまくっても、相手チームがそれ以上に打てばむしろ逆効果となる危険性もあるのです。

投手陣にとっては有り難い代物とはとても言えず、設置は諸刃の剣と言えるでしょう。

バンテリンドームにホームランテラス設置の可能性は…?

では、そんなホームランテラスがバンテリンドームに設置される可能性はどのくらいなのでしょうか。

球場の広報担当者は否定

冒頭から残念な話ですが、バンテリンドームの広報担当者は将来的な導入の可能性は認めつつも

「現状、予定はしておりません」

としているようです。

設置には当然のことながら費用と工事の期間が必要になるため、現時点でこの回答ということは来シーズンまでにホームランテラスが設置される可能性はゼロと言っていいでしょう。

立浪ドラゴンズは2年目も厳しい戦いを強いられそうです。

ホームランテラスが必要な理由

しかしながら現状の中日ドラゴンズは、最もホームランテラスが必要な球団と言えます。

チームの戦力バランス的に

今季の中日は、チーム打率は.247でリーグ4位ながらも、本塁打62本と得点414はともに12球団で最低。

それに対しチーム防御力は3.28でリーグ2位、12球団中でも5位。

「守れるけど打てない」のが現在(というかここ最近ずっと)の中日ドラゴンズというチームなのです。

立浪監督が「ピッチャーは育ちますが、バッターはなかなか育ってこない」と発言するのも納得の状況です。

しかし裏を返せば、ホームランテラス設置によって相手の得点力が上がってしまうリスクは自慢の投手力で抑えられ、自チームの得点力が向上するという恩恵だけを最大限に受けられる可能性があるということです。

ホームランが出にくいバンテリンドー厶

バンテリンドームはその球場の広さから特にホームランが出にくい球場とされています。

その広さは右翼左翼ともに100メートル、センターは122メートル、フェンスの高さは4.8メートル、左中間と右中間の深さは116メートル。

数値上は他球場と比較しても群を抜いて広いというわけではありませんが↓

マウンドの土が硬くて傾斜があり、投手は角度が付く球を投げられるという特徴も相まってますますホームランが出にくくなっています。

↑エグい高さの外野フェンス。これが一番キツい?

以上のような傾向から、テラスの設置はドラゴンズ浮上の切り札と言っていいかもしれません。

???「打つ方は必ず何とかする」

誰かさん(立浪監督)は、

「打つ方は、必ず何とかします」

と宣言して就任しました。その言葉を信じて今シーズン見てきましたが、残念ながら成果があったとは思えません。

もしかして…ホームランテラスを導入することで何とかする、という意味だったのでしょうか…

なぜホームランテラスは設置されない?

ではなぜ、バンテリンドームにホームランテラスが設置される気配がないのか…その理由に迫ってみたいと思います。

理由①金がない!

まずは単純に金銭的な問題です。

中日ドラゴンズは決して潤沢な資金を擁する金満球団ではありません。

↓は12球団の選手年俸合計金額です。(単位:万円)

  • 600320 福岡
  • 478670 読売
  • 435370 楽天
  • 347230 東京
  • 327490 阪神
  • 325370 横浜
  • 297780 千葉
  • 293177 大阪
  • 283760 西武
  • 273820 広島
  • 257131 中日
  • 256670 北海

ドラゴンズの選手の年俸が安いのは中日球団が極度の渋チンであることも関係していますが、最近はコロナの影響もあって今まで通りの観客動員数が見込めない状況が続いています。

テラスの設置には2〜3億円程度必要とされており、ドラゴンズが選手年俸合計の10分の1もの金額を出してまで積極的に動く球団とはちょっと思えないのが実情です。

理由②野球以外のイベントが目白押し

バンテリンドームは日本三大都市の一つ・名古屋市にある球場であり、野球の試合以外にもアーティストのライブやその他イベントなど数多くの目的で使用されます。

ホームランテラスを設置するとなるとかなり大規模な改修工事が必要となり、これまで行ってきたライブやイベントが開催できなくなることも予想されます。

他にホームランテラスを設置している球場と比較しても、ZOZOマリンスタジアムと楽天生命パーク宮城は野球以外の目的で使用されることがそもそもあまりなく、PayPayドームもバンテリンドームほどライブは開催されません。

バンテリンドームがドラゴンズの本拠地であることは間違いないですが、野球のためだけの改修や工事を簡単には行えないという側面があります。

もちろん球場側もドラゴンズからの収入がかなり大きなウエイトを占めているでしょうから、球団が本気になって設置を進めれば「NO」とは言えないでしょうが…

どこぞの球場はそんな大事なプロ野球球団をないがしろにして存続の危機に追い込まれていますがね。

理由③救急車の通り道が確保できない?

野球の試合はもちろん、その他のイベントでも急な怪我人や病人が発生してしまうことはあるでしょう。

そうなった場合、救急車を球場内に入れる必要があり、その通り道を確保するのにホームランテラスが邪魔になると言われています。

まあこれはテラスの造り方次第でどうにかなりそうなもんですが

「人命救助の観点からテラスは設置できない」

と、(ホントはお金を使いたくないための方便だとしても)言われてしまったら反論の余地がありません。

バンドにホームランテラス設置は厳しい?中日ファンの我慢は続く…

不振にあえぐ中日ドラゴンズの起爆剤となり得る、ホームランテラス設置について掘り下げてきました。

ドラゴンズの戦力バランスの観点やバンテリンドームの特徴を考えると、ホームランテラスの設置はかなり有効的だと思われます。

しかし球場の広報担当者の発言などから、少なくとも来シーズンの設置の可能性はほぼゼロ。

中日ドラゴンズという球団の体質およびバンテリンドームが置かれた状況的にも、ホームランテラスの設置はなかなか厳しいものであることがお分かりいただけたと思います。

強いドラゴンズを知っているファンからすると、今の状況は非常に辛いと言えますが、残念ながらもうしばらく我々の我慢は続きそうです。