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2023年発行

エンゼルス、なぜ地獄?大谷、トラウトがいるのに弱すぎる理由…まるで刑務所

侍ジャパンの優勝で幕を閉じたWBC。日本中を熱狂の渦に巻き込みました。

中でも大谷選手はMVPを獲得し、名実ともに世界一のプレーヤーであることを証明。さぁ、これからは所属するエンゼルスで再び勝利の美酒を味わうのだ!と、いきたいところですが… エンゼルスは「地獄」だと言われます。

ネット上では、エンゼルスに戻る大谷選手に対して同情の声が殺到。

  • 大谷、エンゼルスに帰らなきゃいけないの可哀想
  • WBCとの落差が酷い
  • しかしなんでこんな弱いの?

など、多くの人がその厳しい状況を憂えています。

この記事では、地獄だ刑務所だと言われてしまっているエンゼルスの現状をまとめながら、そんな惨状に陥った原因や理由にも迫っていこうと思います。

エンゼルスの現状を憂う声の数々

その残念っぷりには想像以上に多くの声が上がっています。

とにかく弱い!弱すぎる!

Twitterでも多くの人が呟いている通り、現在のエンゼルスはとにかく弱い!

’18年にエンゼルスに移籍した大谷選手は、自身は野球界の常識を覆すような活躍をしていながら、未だに優勝経験どころかプレーオフ争いすら一度も経験がありません。

8年連続

エンゼルスが弱いのは大谷選手が加入したここ数年の話ではありません。

エンゼルスが最後にプレーオフに進出したのは2014年。実に8年連続でプレーオフ進出を逃しているのです。

特に昨シーズンとなる2022年は、5月には一時首位に立ち貯金を最大11まで伸ばしながら、5月下旬から14連敗して借金生活に突入。

その後は浮上のきっかけを掴めぬままいつも通りの低空飛行を続け、せっかくのチャンスも生かせない情けないシーズンとなったのです。

大谷、トラウト、サンドバル…

エンゼルスが弱い弱いと言っても、単純に順位や勝率だけならもっと下のチームは存在します。現に2015年から2022年の間、エンゼルスは最下位になったことは一度もありません。

それでもここまで弱いと取り沙汰されるのは、優勝争いをして当然と言えるその戦力との落差があまりに大きいからです。

ご存知大谷選手はもちろん、WBCアメリカ代表のキャプテンで、長いMLBの歴史の中でも最高峰のプレーヤー、マイク・トラウト選手がエンゼルスにはいます。

↑メジャーでも屈指の存在の2人が同チーム

そしてWBC準決勝で侍ジャパンを苦しめたメキシコ代表のエース、サンドバル投手。さらに現在はケガをしているとはいえ、過去に打点王も獲得したことがあるアンソニー・レンドン選手も在籍しています。

もちろんメジャーリーグには強豪チームがひしめいていますが、そんな中であってもエンゼルスは、少なくとも8年連続でプレーオフを逃すような選手層でなないことが分かります。

目を覆いたくなる惨劇…

↓はWBC期間中に行われた、エンゼルス対パドレスのオープン戦での一コマです。

これは… 高校野球、いや少年野球でももうちょっとマシな守備をするでしょ!

いくらオープン戦とはいえ、プロの、ましてやメジャーリーグのチームが見せるプレーとは到底思えません。

この動画は

大谷やトラウトがいないエンゼルスはこんなヒドいチームなんだ

という事がよく分かる動画として瞬く間に拡散されました。

サンドバルの悲劇

↓に挙げるのは2022年シーズンのサンドバル投手の成績です。

サンドバル投手は先述の通りメキシコ代表のエースで、侍ジャパンがあっさり負けていてもおかしくなかったほどの選手だというのはWBC準決勝でお分かりかと思います。しかし…

サンドバル 2022全投球成績

  • 4.0回0失点 –
  • 4.0回0失点 –
  • 7.0回0失点 –
  • 6.0回3失点 ●
  • 5.2回3失点 –
  • 6.1回1失点 ○
  • 7.1回1失点 ○
  • 3.0回5失点 –
  • 4.2回2失点 –
  • 6.0回2失点 ●
  • 6.0回1失点 –
  • 5.0回1失点 –
  • 5.0回5失点 ●
  • 6.1回1失点 ●
  • 4.2回4失点 ●
  • 3.0回5失点 ●
  • 5.2回2失点 ●
  • 5.1回0失点 –
  • 5.0回2失点 ●
  • 9.0回0失点 ○
  • 6.0回1失点 ●
  • 7.0回0失点 ○
  • 5.0回0失点 –
  • 5.1回2失点 –
  • 5.0回1失点 ○
  • 5.1回3失点 –
  • 6.0回0失点 –

27回登板して、5失点以上を喫したのはわずか3回。失点0に抑えている試合も多い…

そんな強力なピッチャーが、5勝9敗という成績になってしまうのがエンゼルスというチームなのです。

選手達も諦めムード?

勝てない、優勝争いに絡めないというのは、「勝ちたい選手」にとっては地獄です。

意外?な大谷選手の姿

WBCで、大谷選手が大声で叫んだり、力強くガッツポーズをしたり、感情を爆発させる姿を見て意外に感じた方も多いのではないでしょうか。

あれは「勝ちたい」という気持ちと、「勝てる!」という実感が相まって生まれた行動です。そしてあの躍動感溢れる姿こそが、大谷選手の本当の姿だと思うのです。

いくら「勝ちたい」と思っても、周りの雰囲気や実際のプレーを通じて「勝てる!」という感触がなければ、あそこまで熱量を持ったアクションは起こせません。

大谷選手がエンゼルスでどうにも“大人しそう”に見えてしまうのは、「このチームではどうせ勝てない」という半ば諦念のようなものがあるからではないでしょうか。

そしてそんな諦めムードにならざるを得ないエンゼルスの状態は、まさに「地獄」と言って差し支えないと思います。

エンゼルスに戻りたくない選手達

↓はWBC準決勝、日本vsメキシコ戦前に大谷選手とサンドバル選手の間でなされた会話です。

サンドバル「大谷よ、負けた方がすぐエンゼルスのキャンプに戻ることになる。その覚悟はできてるか?」

大谷「気をつけろよ、(キャンプ地の)アリゾナに行く準備はできているか?」

「負けた方が帰る」と言えばいいところを、「エンゼルスのキャンプに戻る」と表現している辺り、少なからず“エンゼルスに戻りたくない”気持ちがあるように取れます。

WBCのヒリヒリした緊張感の中でハイレベルの戦いをする楽しさ…、そしてエンゼルスに戻ってしまえばその楽しさは味わえない…そんな思いがあるのでしょう。

なぜそんなに弱い?

ではなぜエンゼルスはここまで弱いのか、勝てないのか、その理由に迫ります。

続かない打線

大谷、トラウトというメジャー屈指の強打者が2人して30HRを放っても、エンゼルスの打線は後が続きません。

チーム打率はア・リーグ最低水準の2割3分前後。とある米メディアからは

「エ軍が驚異的な勢いで負けた理由の1つは、ほぼ自動アウトの下位打線」(ジ・アスレチックス紙)

と書かれてしまったことも。

ほぼ自動アウトって…どんだけヒドいんだ。

年俸バランス崩壊で補強できない投手陣

打てないなら投手の補強を…となるのが一般的ですが、エンゼルスは大物選手とそうでない選手との年俸バランスが崩壊しており、なかなか補強が上手く進みません。

トラウトは8年390億という契約が残っており、さらには先ほど挙げたレンドンとの間には7年331億という契約もあります。

この大物野手2人に年間で合計100億円近い金額を支払っており、そりゃ投手陣の補強に回すお金なんてまともに残るはずがありません。

絶望的な若手育成

補強が無理なら若手を育成して手前で用意すれば…となりますが、地獄であるエンゼルスはそれもままなりません。

エンゼルスのオーナーであるアート・モレノ氏は、若手育成の要となるファームへの資金投入に全く消極的だったとされます。

そしてファームの練習設備はおろか、指導者、スタッフへの報酬は、業界の中では最低の部類だったとされ、監督やコーチが毎年のように交代していました。

ロクな報酬も貰えずやる気のない指導者が、ショボイ練習設備を使って若手を育成したらどうなるか…そんなことは火を見るより明らかです。

エンゼルスファンの反応

そんなエンゼルスはもはやファンからもイジられる始末。

アメリカ人らしい、皮肉たっぷりなイジリっぷりです。

まあファンはこうしてネタにできる分まだマシですが、人生をかけて戦っている選手達は洒落になりません。

今季終了後にFAとなる大谷選手もおそらくは、アナハイム刑務所ならぬエンゼルスを出ていく決断をするでしょう。

しかしこんなエンゼルスで大谷選手はよくここまで育ったなと思わざるを得ません。その才能、センスはやはり世界一の野球選手と呼ぶに相応しいのではないでしょうか。

エンゼルスはやっぱり地獄だった!弱すぎる理由は無計画なチーム作り

WBCが終わり、エンゼルスに戻ることに同情を集めている大谷選手。「地獄」とまで言われるエンゼルスの現状に迫ってきました。

どんなに個人で頑張っても勝てない、チームの雰囲気もユルユル、そしてフロントも無計画なやり方でチームを運営している…そんなところに戻りたくないのは当然です。

大谷選手は見てすぐ分かる通り、天性の野球小僧。

そんな彼が求めるのは、より厳しく、レベルの高い戦いのはずです。しかしエンゼルスに居ては、そんな極限レベルの勝負を体験できる可能性は間違いなく低いです。

メジャーでの二刀流を実現させてくれた恩義はあるでしょうが、大谷選手も決してもう若くありません。

早く「地獄」を、「刑務所」を脱して、より眩しい舞台で躍動する大谷翔平を見たいと思うのは私だけではないでしょう。