今年「も」放送される24時間テレビ。
8月27・28日の両日に渡って放送されますが、今年は例年になく批判の声が大きいようです。
ネット上でも
- 24時間テレビ本当につまらない
- 誰が得するの?
- 節電もあるしやめればいいのに
など、非難の声が挙がっています。
この記事では、24時間テレビに渦巻く不要論を掘り下げつつ、番組のキモである障害者の方々の声も取り上げてみたいと思います。
24時間テレビに対する批判の声
今年は「節電」に触れたツイートが多いですね。
まあ節電うんぬんを抜きにして、単純に24時間テレビの存在意義を疑う声も山ほどありますが…
たしかに周りで「24時間テレビが楽しみで仕方ない!」という人に会ったことは一度としてありません。
24時間テレビ不要!もうやめろ!の声の根拠
今年に限って言えば、24時間テレビに対する批判的な声の多くは「節電」によるものです。
9月末まで全国で「節電要請」
もう忘れてしまっている方も多いかもしれませんが、7月1日〜9月30日まで、政府から節電が呼びかけられています。
経産省/資源エネルギー庁からの協力依頼↓
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/shoene_setsuden/
これはあくまで「無理のない範囲で」とされているので義務ではないですが、国民として多少の意識はするべきだと言えます。
テレビを消すのが一番の節電?
節電というとついついエアコンのことばかり考えてしまいがちですが、実は最も節電の効果が高いのは「テレビをこまめに消すこと」だという調査結果があります。
これは2011年に野村総研が発表した『家庭における節電対策の推進』というデータです。
これによると、
『テレビをこまめに消すと節電効果220W』
『使用するエアコンの数を減らすと節電効果130W』
とされ、エアコンをやめるよりテレビを消すほうが1.7倍も効果があるとされているのです。
もちろんこれは10年以上前の調査であり、現在はどこまで当てはまるか分かりません。
ただどう考えてもエアコンとテレビの使用電力量が、この10年で大幅に変わっているとは思えません。むしろエアコンは近年どんどん改良されており、電力の使用料は減っている印象です。(皮肉にも「24時間つけていた方が電気代が安い」とさえ言われている)
テレビで節電を呼びかける矛盾
これを踏まえると、テレビで節電を呼びかけているのは実に矛盾した行動だと言えます。
そもそもテレビ局という存在自体が、24時間とんでもない量の電力を使いっぱなしにしているんです。
最近「スタジオの照明を落として放送しています」などと冒頭に断っている番組を見かけますが、あんなものはただのパフォーマンスでしかありません。
放送をやめることが最も手っ取り早く、最も効果的です。
24時間ということは電力消費量が上がる日中も…
↓は、夏場の猛暑日における、エアコンの電力消費量の推移です。
やはり当然のことながら日中に大きなピークがあることが分かります。
24時間テレビはその名の通り24時間放送するわけですから、各家庭がエアコンでバリバリ電力を使用している日中の時間帯も(くだらない)放送を続けているわけです。
普段節電を呼びかけているのなら、24時間テレビも別に24時間にこだわらず、日中は放送を休止するとかやればいいんです。
テレビがなくても死なない
一般家庭で電力消費量の多い家電ベスト3は、エアコン、冷蔵庫、テレビです。
このうち
エアコンを消すと…
熱中症の危険!
冷蔵庫を消すと…
食中毒の危険!
テレビを消すと…
特に危険なことなし
と、いうことでテレビがなくても健康被害はありませんし死ぬこともありません。
こうした背景の中にあっても『24時間テレビを放送する!』という日テレさんの心意気には頭が下がる(呆れ果てる)思いです。
批判の声が挙がるのも当たり前と言えるでしょう。
実際の障害者の声
24時間テレビと言えば、障害を持つ人々にスポットを当てた構成がメインです。
もちろんそれは何も悪いことではないですが、当の本人、つまり実際に障害を持つ方々は24時間テレビに対してどんな印象を抱いているのでしょうか…。
聴覚障害者の両親を持つ、ある人の意見
以下は聴覚障害者の両親を持つ、五十嵐大さんというライターさんの、24時間テレビに対する声です。
幼い頃のぼくは『24時間テレビ』が嫌いだった。観ていると胸が苦しくなり、我慢しようと思っても涙が出てきた。その涙は「感動」の表れではなく、むしろ「悔しさ」に近かったように思う。
母がつぶやいた、あまりに悲しい一言
その年の24時間テレビでは、聴覚障害者の暮らしを描いたドラマが放送されていました。
五十嵐さんはそのドラマをご両親と見ていたそうなのですが、聴覚障害者を演じる俳優(もちろん実際は健常者)が、自らの生い立ちに涙するシーンを目にした彼の母親がこうつぶやきました。
「私たちって、なんだか可哀想な人みたいだね」
障害者に「可哀想」というレッテルを貼り消費する
↑「障害者を見世物にしている!」と批判の大きかったダウン症の少女達を扱った企画
五十嵐さんはお母様の発言を受け
障害があることで「可哀想」というレッテルが貼られ、視聴者に消費される「コンテンツ」になってしまう。それは障害者を一括りにして、一人ひとりを人間として見ていないことと同義ではないか。
という怒りが込み上げてきたと言います。
五十嵐さんのコラム全文はこちら↓
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f39ea6dc5b65bbd8c8efed5
感動の押し売りはもうたくさん!
24時間テレビは『感動の押し売りだ』とよく非難されます。障害者を視聴率稼ぎの道具にして無理やり感動させていると…
五十嵐さんのお母様が、どんな思いで「自分達が可哀想な人間みたいだ」と発言をしたのかは分かりません。深い意味はなく冗談のつもりだったのかもしれません。
ただ、24時間テレビの構成や演出に対して、好意的な見方をしない障害者の方も存在することは間違いのない事実なのです。
視聴者は感動の押し売りに辟易し、取り上げた障害者の方々をも傷つけてしまう…
この辺りが「24時間テレビは誰が得しているのか」という声に繋がっているのだと思います。
誰が得しているのかは明白
24時間テレビで誰が得をしているのかは、これはもう確実に“日本テレビ”ですね。
日テレにとって24時間テレビは年に一度のドル箱企画。
歴史ある『24時間テレビ』には、複数のナショナルクライアントに加えて、全国各地から協賛金が集められます。
また、表向きはノーギャラとされていながら実際は支払われているタレントの出演料も、一般的な金額からは随分とお値打ちな設定にされているんだとか。
スポンサーはガッツリつく上にタレントの出演料は抑えられ、結果的に日テレはウハウハで笑いが止まらない…
どんな批判を食らっても24時間テレビをやめない理由は「儲かるから」に他なりません。
24時間テレビは誰にも望まれていない?
例年になく批判的な声にさらされている24時間テレビについて掘り下げてきました。
今年に関しては、政府から呼びかけられている節電要請が大きな要因となっているようです。
また、番組内で多く取り上げられる障害者ネタも、肝心の障害者の方々に理解を得られていない部分があることもお分かりいただけたと思います。
今年で45回目となる24時間テレビ。毎回似たような企画の繰り返しですし、もう一定の役目は終えたと思うんですがね…。
それでも毎年必ずやる、ということは、よっぽど儲かるコンテンツなんでしょうね。
すぎやまこういち氏の半生がドラマに!
24時間テレビ内で、昨年9月に亡くなったすぎやまこういち氏の半生を描いたドラマが放送されるとの発表がありました。
すぎやま氏は誰もが知る名作曲家ですが、その思想は過激で、反LGBTを公然と口にするなど差別発言が多いという意外な側面も持ち合わせていました。
まあ、『感動』がウリの24時間テレビですから…すぎやま氏のそうした差別発言など、まったく無かったものにされるのでしょうね。
真実をありのまま放送しない番組には、やはり大きな期待はできません。