かつては3軒の映画館で賑わった東京都青梅市。
それらがすべて閉館して半世紀が過ぎた2021年6月4日、新たにオープンしたのが「シネマネコ」という映画館です。
都内唯一となる木造映画館の代表を務めるのが「菊池康弘」さん。
彼は一体どんな人物なのでしょうか。
もくじ
プロフィール
生年月日は不明ですが現在39歳。
Facebookによると東京都青梅市出身で、東大和南高等学校を卒業されているようです。
現在は株式会社チャスの代表取締役を務め、4店舗の飲食店を経営されています。
納得の経歴
一見すると映画館とは無縁の経歴に思えますが、実は俳優業をしていた時期があったようです。
20歳の頃から俳優を志し、2年後には今は亡き蜷川幸雄氏主宰のニナガワスタジオに入所します。
その後、芸能事務所ミーアンドハーコーポレーションに所属し、現在も活躍されている俳優・上川隆也さんの付き人などを務めます。
その後NHK大河ドラマ「功名が辻」などにも出演しましたが、29歳のとき俳優業に見切りをつけ、別の道を進むことを決意。
自ら飲食店を経営し、商売は軌道に乗っていたものの
「もっと多くの人を笑顔にできる、感動してもらえることって他には何かないのだろうか」
と思い、過去の経験も生かして映画館設立の企画を発案したそうです。
クラウドファウンディングで資金集め
このプロジェクトに必要な資金はクラウドファウンディングによって集められました。
2021年4月30日に目標金額である5,000,000円を達成。
集まった資金は映画館の備品費の一部やHPの作成費用、グッズの制作費などに充てられたということです。
子供たちも楽しめる最高の映画館を
菊池さんは「シネマネコ」にこんな想いを込めています。
僕が小さいころ、映画館には滅多に行けませんでした。それは家の近くには映画館がなかったからです。
大人になって1人でも映画館へ足を運べるようになったとき、テレビ画面の何倍も大きなスクリーンで観る映画は格別でした。
小さいころにこんな大きなスクリーンでもっと多くの作品を観ることができたら、どんなに良かっただろうと思ったのです。
そこでシネマネコというこの映画館は、子供たちにも映画の良さを知ってもらうために、小中学校の行事や鑑賞教室などを開いて、大人だけでなく子供たちにも楽しんでもらえる映画館にしていきます。
建物は貴重な文化財
今回、シネマネコとしてオープンするこの建物は、一から建てられたものではありません。
青梅織物工業協同組合の敷地内にある、旧都立繊維試験場を改修して映画館にしています。
建物自体が建設されたのは昭和初期。平成28年には国登録有形文化財に登録され、青梅の織物文化、ものづくりの香りが残る歴史的建造物なのです。
なぜシネマ「ネコ」?
映画館なので「シネマ」は当然として「ネコ」はどこから来たのでしょう。
それはシネマネコの元の建物である「旧都立繊維試験会場」という名称からも分かる通り、青梅はその昔、織物の町として栄えていました。
そのため養蚕(ようさん)も盛んであり、蚕をネズミから守るネコが大切にされていたという背景があるのです。
菊池さんはここから「シネマネコ」と名づけたそうです。
センス溢れる上映作品
こけら落としとなる上映作品は、あのスタジオジブリ作品「猫の恩返し」。
もちろんシネマ「ネコ」にかけているのはお分かりかと思いますが、菊池さんは今まで自分を育ててくれた地元・青梅への「恩返し」の意味も込めたといいます。
その他の上映作品も
- 猫が教えてくれたこと
- ねことじいちゃん
- ボブという名の猫 幸せのハイタッチ
と、ネコに絡めたラインナップ。
各映画の上映時間や今後のスケジュールなどはHPをご確認ください。
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まとめ
映画館で映画を観ることの魅力は、もちろん巨大スクリーンによる衝撃や臨場感ですが、もう一つ「不特定多数の人と感動を分かち合える」点にもあると思います。
ネットやSNSの発達で「共有」や「共感」が現代人のキーワードになっていますが、それは動画や画像による「物理的」なものでしかありません。
多くの人と同じタイミングで泣いたり笑ったり驚いたり・・・映画館という空間は人間の「感情」を共有し合える、数少ない場所ではないかと思うのです。
コロナウイルスの影響でお客さんを満足に入れられなかったり閉館に追い込まれたり、何かと苦しい状況が続く映画館ですが、「シネマネコ」は映画館の素晴らしさを再認識させてくれる、素敵な場所として賑わってほしいものです。