見たい、聞きたい、話したい…
ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
2020年発行

「激論ひとり」のはなし。 2020/09/03

Zoomを使ってのweb会議が一般化しました。

考えてみたら凄いことです。

今までテレビの中の出来事だった生中継が自宅でもスマホでもできるというのは、粗い画像がカタカタ動くだけのテレビ電話しか見たことない世代にとって、にわかに信じがたいことです。

そんな風に世界中の誰とでも会議を行えるようになった今だからこそ試してほしいことがあります。

それは「自分ひとり会議」です。

これにはパソコンもスマホも必要ありません。

頭の中で自分の言いたいことを言いたい放題しゃべるのです。

議題なんて何でもいいんです。

仕事の悩みや将来への不安でもいい、今こんなご時世ですから、ストレスでイライラしている方も多いでしょう。

それを「自分一人会議」で解決に導くのです。

自分の考えを文字にして書き出すのが一番良いようですが、なかなか難しいのでひたすら頭の中でも十分です。

自分ひとり会議はいいですよ。

まず先ほど申した通り、パソコンもスマホも何も必要ありません。

場所すら要らない。

何なら酒飲みながらでもいい。

超自由です。

ただ、唯一用意した方がいいのは「対戦相手」です。

もちろんこれも自分で演じる。

自分の考えにツッコミを入れてくる議論の相手を頭の中で作り上げるのです。

その昔「ビートたけしのTVタックル」で舛添要一氏と田嶋陽子氏が一緒に出演すると、ほぼ100%の確率で口論となっていました。

番組を見ていた当時まだ中学生だった私は「よくケンカする2人だなぁ」としか思っていませんでしたが、今思うとこの関係性はとても羨ましいです。

現実世界ではなかなかピッタリと合う議論相手なんて見つかりません。

だったら想像で作ってしまえ、というわけです。

対等な立場の議論の相手がいることはとても有益です。

相手の鋭いツッコミにしっかりと返すだけの確固たる知識や情報を身につけなければいけなくなるからです。

そしてそれはそのまま自分自身の価値となります。

日本人は議論が苦手、と言われます。

それは「意見を否定された」=「人格を否定された」と感じる傾向が非常に強いためです。

その人の意見を非難することはその人自身を非難したことになる…冷静に考えたらおかしな話なんですが、このような考え方が本当に根強い。

それはなぜか?答えは簡単、自分の意見や考え方に自信がないからです。

自信がないから、否定されると「お前の考えなんて薄っぺらいんだよ、バ〜カ」と言われたような気持ちになってしまう。

相手が何を言おうと自分はこう思う!という自信があれば、もっと自己主張ができて活発な意見交換が可能になるはずです。

自分ひとり会議で自分の考えに自分自身でツッコミを入れ、それに対する反論を練る。

その繰り返しが自分の考えに自信を持たせ、自分を強くしてくれる。

とても望ましいサイクルを作ることができるのです。

自分に自信がある人は、何も顔の良さやスタイルの良さに自信を持っているわけではありません。

自分の考えや価値観に自信を持っているから強いのです。

もし私が一人で口元をボソボソ動かしながら物思いにふけっていたらそれは自分ひとり会議中ですので、「コイツちょっと怖っ、キモっ」と思ってそっとしておいてください。(N)