見たい、聞きたい、話したい…
ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
2021年発行

ローレル・ハバードのプロフィール、経歴!トランスジェンダー選手に対する反応についても

男子から女子へ競技する性別を変更したニュージーランドのローレル・ハバード選手(43)が、重量挙げ競技87キロ超級で7位となり、東京五輪の出場権を獲得しました。

性別の変更を公表したトランスジェンダー選手が五輪に出場するのは史上初めてとなります。

この件に関して世間からは

  • 元男性って有利すぎるんじゃないの?
  • 実際の女子選手からの批判はないの?
  • IOCの対策はどうなってるの?

といった声が聞かれます。

この記事ではそんなハバード選手のプロフィールに迫りながら、トランスジェンダー選手に対する世間の疑問にもお答えしていきたいと思います。

プロフィール

国籍 ニュージーランド

生誕 1978年

競技 重量挙げ

出生名 ギャビン・ハバード

「男」として生まれる

ローレル・ハバードは元オークランド市長、ディック・ハバードの子として生まれました。

出生名は「ギャビン・ハバード」で、男性として誕生しています。

そのまま男性として重量挙げ競技を始め、1998年に新しく設立された男子105キロ超級部門でニュージーランドのジュニア記録を樹立するなど頭角を表します。

性別への違和感で引退、そして

優秀な成績を残していたハバードですが、自身の性別に対する違和感は拭えず、20代で一度競技から引退をします。

その後、性別適合手術を受け女性となります。その際に名前もギャビンからローレルに変更しています。

そして30代後半に「女性」として重量挙げ競技を再開。

2017年と19年に世界選手権に出場し、19年は87キロ超級で6位と好成績を残します。

五輪出場を決める

重量挙げのオリンピック出場は国際重量挙げ連盟(IWF)の世界ランキングで決定します。

男女各階級の世界8位以上とそれ以外の大陸1位などが出場権を得るという仕組み。

そのランキングが11日付で確定し、先述の通りハバード選手は女子87キロ超級で7位となり、五輪出場権を獲得したのです。

周囲の反応

非常にデリケートな問題ですが「はい、そうですか」とは言えない面があるのも事実。周囲の反応は気になるところです。

どういった声が上がっているのでしょうか。

反発の声

当然のことながら湧き上がるのは反発の声。

ましてや重量挙げというパワーがモノを言う競技で、性別適合手術を受けたとはいえ元男性が出場して好記録を残しても「当たり前」と言えます。

実際に現役女子選手からも不満の声が上がっており、ベルギーのアンナ・ファン・ベリンヘン選手は「不公平でひどいジョーク」と批判しました。

IOCの対策

IOCも、こうした選手に対してまったく対策をしていないわけではありません。

IOCのガイドラインでは、男性として生まれながら女性として五輪に出場するトランスジェンダーの選手について、男性ホルモンのテストステロンのレベルを大会の1年以上前から抑制しなくてはならないと定めています。

しかしこの規定をクリアしたとしても、トランスジェンダーの女性選手は、男性として成長する間に得た身体的な優位性を保ったまま。

元々女性の身体で生まれた女性選手との対戦は決して公平にならないというのが一般的な見解とされています。

一方、トランスジェンダーからは…

↑レイチェル・マキノン選手

自転車競技の国際大会に昨年10月に出場し、トラック種目で優勝したトランスジェンダー女性のレイチェル・マキノン選手は「テストステロンの抑制は”急激な身体的変化”を招く」と語っています。

テストステロンを抑制すること自体も容易いことではなく、仮にそれができたとしても、それまでと同じ身体能力やコンディションを保つことは難しいと訴えているのです。

「テストステロン」とは

テストステロンにも少し触れておきましょう。

テストステロンとは男性ホルモンの一種で、精巣でつくられ最も分泌量が多く強い作用をもちます。

男性ホルモンの影響といわれるものは、ほぼテストステロンの影響といっても過言ではなく、骨格や筋肉などを強化してたくましい肉体を形成し生殖機能を向上させることで有名です。

つまり「男らしさ」の象徴となる体格や筋肉の元となるホルモンなのです。

簡単な問題ではない

これはただ単にトランスジェンダー選手も平等に扱うべきだ、という簡単な話ではありません。

犠牲を払う必要がある

イギリスの元五輪代表女子水泳選手のシャロン・デイヴィス氏らはIOCに書簡を送付。

トランスジェンダーの選手を女性として出場させることについて疑問を投げかけ、さらなる研究が必要だと訴えています。

デイヴィス氏は、ハバード選手の活躍に言及。

「IOCが目を覚ますまで、ここまで行かなくてはならないのは異常だと感じている。いろいろ変わると期待しているが、実際に変わるまで、女性たちが犠牲になることが問題だ」

と述べています。

ハバード選手によって、活躍の場を奪われる女子選手が現れるからです。

果たしてその選手は、元男性であった選手が圧倒的な体格やパワーで自分の記録を凌駕するのを見て、「自分が活躍できないのは自分の努力が足りないからだ」と納得できるでしょうか…

悲しい光景を目の当たりにする?

デイヴィス氏はこうも述べています。

五輪でとても悲しい光景を目にしないと変化は起きないだろう。有名女子選手が打ち負かされるのを目にし始めてやっと、人々は立ち上がり、状況を理解し始める

まとめ

ローレル・ハバード選手のプロフィール紹介から、トランスジェンダー選手たちへの反応まで掘り下げてきました。

スポーツの世界も盛んにジェンダーレスが叫ばれていますが、単純に男女の垣根がなくなることを手放しで喜ぶことはできない面があるようです。

まだまだ議論が必要な問題であり、その解決には少々時間がかかりそうです。