東京オリンピック・陸上短距離でリレー専門代表として選出されたデーデーブルーノ選手。
ところがリレー専門代表であるにもかかわらず、4×100mリレーで実際にメンバーに選ばれたのは、多田修平選手、山縣亮太選手、桐生祥秀選手、小池祐貴選手の4人(走行順通り)。
デーデー選手は選外となってしまいました。
これに対してネット上では
- デーデーブルーノ選手はなぜ走らない
- なぜデーデーブルーノをリレーメンバーに選ばない?
- デーデー選手の走りが見たい!
といった声が多く聞かれています。
この記事ではデーデーブルーノ選手がなぜリレーメンバーに選ばれなかったのか、その理由に迫っていこうと思います。
もくじ
デーデーブルーノ選手がリレーに出ない事を惜しむ声
Twitterの声からも、かなりの期待と注目が集まっていた事が分かります。
なぜデーデーブルーノはリレーメンバーに選ばれなかった?
それではなぜデーデー選手がリレーメンバーに選ばれなかったか、理由に迫っていきます。
理由はリレー走者ごとの役割?
4×100mリレーでは当然のことながら4人の選手が順番に100mを走ります。
第1走者〜第4走者まで、ただ単に速い人を並べればいいというわけではなくそれぞれに求められる要素が違います。
それぞれに求められる大まかな要素
求められる要素は次の通りです。
- 第1走者 スタートが早い選手、プレッシャーに強い選手
- 第2走者 一番速い選手
- 第3走者 カーブに強い選手
- 第4走者 競り合いに強い選手、プレッシャーに強い選手
実際に当てはめてみる①第1走者
上記の要素を実際に今回の選手陣に当てはめてみます。
まず第1走者は何と言っても「スタートが早い選手」。これは誰もが納得の要素でしょう。
今回のメンバーから選ぶとすると、これはもう実際の走行順通り多田修平選手が適任でした。
多田選手はスタートから30メートルほど全く前を見ず、地面をのぞきこむように首を下げて走るという独特なスタイルで、そのスタートダッシュを確固たる武器にしています。
また、オリンピックの代表選考会を兼ねた日本選手権でも優勝を飾るなど、プレッシャーにも強いことは証明されています。
これら多田選手のセールスポイントを押し退けて、現在のデーデーブルーノ選手を第1走者に選ぶのは少々無理があります。
実際に当てはめてみる②第2走者
要素として「一番速い」ことが求められる通り、リレーの第2走はいわゆる“エース区間”です。
ここに選ばれたのは、現・日本記録保持者である山縣亮太選手。
100mを9秒95で走る日本のエースであり、これももう文句なしの選出と言えるでしょう。
なぜ第2走者に一番速い選手を持ってくるかと言うと、この区間が一番長く走らせることができるからです。
4×100mリレーとはいえ、スタートを切るタイミングやバトンを渡すタイミングで、実際に走る距離は均等にはなりません。というより意図的に均等にせず、メンバーの特徴やバランスにより変えていくのが戦略となります。
一番速い選手に一番長く走ってもらう方がいいわけですからこの選択は理にかなっています。
ベスト記録で劣るデーデー選手が第2走者に選ばれないのも、ある種必然と言えます。
実際に当てはめてみる③第3走者
「カーブに強い」ことが求められる第3走者。
ご存知の通り、直線で100mずつ走るわけではないので、どこかで必ず”カーブを走る”ことになります。
第3走者はコーナーリングの上手さが必須になってくるのです。
その意味で今回選ばれた桐生祥秀選手は、前回のリオ・オリンピックの同競技で銀メダルを獲得するなどリレーの経験および実績が豊富。コーナーリングの技術にも定評があります。
桐生選手は大会前にアキレス腱を痛めており万全の状態ではありませんでしたが、第3走者として選ぶならば経験値の差で桐生>デーデーとなっても不思議はありません。
実際に当てはめてみる④第4走者
アンカーとなる第4走者。ついついここが花形のように思ってしまいますが、実際にはただひたすらゴールを目指して真っ直ぐに走り抜ける単純明快な区間です。
もちろん周囲と競り合っても負けない精神力や最後まで切れない集中力などが求められますが、まだ経験の浅いデーデー選手が選ばれるとしたらここだったでしょう。
とはいえ実際に選ばれた小池祐貴選手は100mの自己ベストが9秒98。
対するデーデー選手の自己ベストは10秒19。
記録面での差は如何ともしがたく、単純な走力差を埋める材料がなかったのも事実です。
もう一つの側面
デーデー選手が選ばれるならば最もその可能性が高かった第4走に、小池選手が選ばれた理由にはもう一つ理由がありそうです。
というのも、小池選手は個人競技の方で100m、200mともに代表権を獲得していました。
ところが日本陸連は
メダル獲得がほぼ不可能な個人種目よりもリレーを優先してほしい。
ついては100mと200m両方の代表権を獲得しても出場は1種目にしてほしい。
と選手たちに要望していたというのです。
これで小池選手は、せっかく獲得した200mの代表を辞退せざるを得ない形となってしまったのです。
リレー専門代表だったデーデー選手でなく、小池選手が選ばれた理由の一つには、このような不遇に見舞われた小池選手への配慮もあったかもしれません。
東京オリンピックは終わってもデーデー選手の活躍はこれから!
東京オリンピックではその勇姿を見せられなかったデーデーブルーノ選手。
しかし彼はまだまだこれからの選手。驚異的な成長スピードを見せており、父親(ナイジェリア出身)譲りの肉体は伸び代十分です。
パリ五輪では有無を言わさぬ日本のエースとして、100mも200mもリレーも外せない選手になってくれることを期待します!