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2021年発行

プロ野球・応援団が消滅?応援団不要論!日本と異なるメジャーリーグの応援は?

新型コロナウイルスの影響で、プロ野球の私設応援団は満足な活動ができない状態が続いているようです。

そんな中で持ち上がっているのが「応援団不要論」。

この記事では

  • なぜ応援団不要論が持ち上がるのか?
  • 必要論者の意見
  • 共存の方法は?
  • メジャーリーグの応援の方法

といったポイントから、プロ野球応援団については考えてみようと思います。

不要論が持ち上がる原因

まずはなぜ、不要論がここまで持ち上がるようになったのかを解説していきます。

コロナ禍による影響

ご存知の通り、コロナ禍によりスポーツ観戦にも様々な影響が出ています。

中でも、昨年から飛沫感染のリスクがあるためトランペットなどの鳴り物を使った応援はすべて禁止となったのは大きかったと言えるでしょう。

もちろん大声も禁止のため応援歌も歌うことはできません。

さらに、肩組み、ハイタッチ、握手、タオルを振りまわすなどの行為も、接触感染のリスクがあるため、同じく禁止となっています。

応援が静かな方が…

本当に試合を真剣に見たいファンにとって、近くでガンガン鳴り物を鳴らされたり大声で歌われたりしたらそれは確かに鬱陶しいでしょう。

また、応援がないからこそ聞こえる選手同士の会話や掛け声、ミットにボールが吸い込まれる音や乾いた打球音など、今まで聞こえなかったものが聞こえるようになったことが、新たな野球の魅力として認識されつつあります。

私設応援団のガラの悪さ

一部球団の私設応援団の中には、とてもカタギの人間とは思えない風体の方々がいらっしゃいます。

一時話題になったのが、甲子園球場のバックネット裏を事実上占領していた「8号門クラブ」。

これは高校野球における話でしたが、プロ野球でも私設応援団のメンバーが、一般観覧者の席を不当に占拠したり座ろうとした人を恫喝したり…といった行為がかねてより問題視されてきたのです。

このように応援団不要論は「コロナ禍による応援方法の縮小」「新たな野球の魅力発見」「以前から問題視されてきた行為の顕在化」といった背景から、持ち上がってきたと言えます。

必要論者の意見

ただし、スポーツを楽しむという意味で応援団の存在は必要だという声も大きいのは事実です。

そうした声もまとめてみましょう。

みんなで一体感を味わえる

これは大いに理解できますね。

同じチームを応援するもの同士、同じ曲に合わせて歌を歌ったり楽器を鳴らしたり…ストレスの発散になるという方も多いのではないでしょうか。

センスの良い応援歌もたくさんあり、気分が盛り上がるという側面があるのは否定できません。

選手の励みになる

ヒーローインタビューで「ファンの皆さんの声援のおかげで…」とコメントする選手は非常に多いです。

あれはリップサービスでなく本心だと思います。

競技は違いますがサッカー日本代表が海外で試合を行う際、遠い遠い国まで来て日本語で応援歌を歌ってくれる応援団がいたらどれほど心強いでしょう。

ファンの応援や声援というのは選手にとってもの凄いパワーになるのです。

また、日米野球などで来日するメジャーリーガーは「日本のファンはトランペットで自分の応援歌を演奏してくれる」と聞くとそれをとても楽しみにして来日するそうです。

共存の方法はないのか

応援団の要・不要論はどちらの観点からも納得できるものであることが分かりました。

何とか共存の方法はないものでしょうか。

あのミスターも提言していた

2000年6月14日、東京ドームで行われた巨人―横浜(現DeNA)戦は、私設応援団による鳴り物が自粛された状態で行われました。

これを提言したのは、誰であろうあの「長嶋茂雄」さん。

「球音を楽しむ日」として、プレー中に発生する音と一緒に野球を楽しもうというコンセプトでした。

ただこの時も賛否両論あったようです。

音がないと寂しいというファンや選手の声、また鳴り物自粛を要請された横浜応援団からは不満の声が上がったと言います。

西鉄黄金期を支えた戦士も…

西鉄黄金期を支えた豊田泰光氏も、ただうるさいだけの応援には批判的な意見を持っていました。

週刊ベースボールのコラムには事あるごとに「ドンプカ騒音応援は不要」と書いたり、「一瞬の静寂こそが最上の瞬間 鳴り物応援はやめるべき」というコラムも残しています。

どのように線を引くべきか

長嶋茂雄さんも豊田泰光さんも、「応援」という行為自体を否定しているわけではありません。

となると、どこかで線を引くしかないということになります。

長嶋茂雄さんが行ったように試合ごとに鳴り物禁止するか否かを決める、もしくは球場に防音エリア等を設置するのも一つかもしれません。

メジャーの応援

野球の本場、メンバーリーグには応援団という概念はあるのでしょうか。

私設応援団は存在しない

メジャーリーグの球団には私設応援団は存在しません。

これは応援に対する哲学の違いと言われています。

アメリカ人はチームを応援するために応援するが、日本人は応援自体を楽しむために応援する

この違いは大きいようです。

メジャーの試合ではピッチャーが投球モーションに入ると声援は続きますがかなり応援のボリュームが下がります。

過度の声援や騒音が、プレーに影響を及ぼすことを避けるためです。

これはつまり、誰かが音頭を取らなくても理念に基づいた応援が行われていることを意味しているのです。

メジャーの騒がしさの原因

そうは言ってもメジャーの試合でも観客は結構騒がしいのです。

じゃあ何が騒がしいかというと、観客同士の野球談義やビジターチームに対する野次やブーイングです。観客が一斉に手拍子や足を踏みならし、音を立てて応援することも結構あります。

日本と異なるのは、誰も音頭を取らなくてもそれが自然発生的に揃ってしまうことだそうです。

「応援の目的」がそもそも違うということが言えると思います。

まとめ

プロ野球の応援および応援団には何かと問題があるのは事実のようです。

ただ、簡単に廃止してしまうのはあまりにももったいない、日本独自の文化であることも間違いないでしょう。

「応援の目的」をどこに置くか…それによって方法も考え方も変わってくるのだと思います。

今までのやり方を見直し、時代に合わせて変化していく必要に迫られているということですね。