朝日新聞社が7月1日から月ぎめ購読料を、朝夕刊セット版で4,400円、統合版は3,500円に値上げすると発表しました。
朝夕刊セットは363円、統合版は407円の値上げとなり、消費税を除く本体価格の改定は1993年12月以来、27年7カ月ぶりということです。
5月末に発表された2021年3月期の連結決算では441億円と巨額の赤字が発表されており、いよいよ倒産の危機かと言われるまでになっています。
この記事ではその赤字の原因と、本当に倒産の危機なのかについて迫ってみたいと思います。
もくじ
赤字の原因
主な原因は新型コロナによる広告収入の激減と報じられましたが、実際のところどうなんでしょうか。
完全なる斜陽産業
このグラフを見ていただけば一目瞭然ですが、
新聞全体の発行部数は近年、右肩下がりを続けています。
朝日新聞に限ってもこの通り。
コロナがあろうとなかろうと、業界としても朝日単体としてもいつか赤字に転落することは規定路線でした。
頼みの綱の不動産収入も・・・
発表によると、朝日新聞社の2020年4~9月期のメディア・コンテンツ事業は116億1,300万円の赤字。
これに対し不動産事業は24億2,900万円の黒字を記録し、今では会社の屋台骨を支える存在になっています。
ところがこの頼みの綱であった不動産収入も、コロナによるテナントの退去や家賃減額、猶予要請などにより赤字に転落。
これも巨額の赤字の原因となったと考えられます。
新聞社って倒産するの?
これははっきり言ってしまうと大手新聞社は倒産しません。
国の方向性を示すための情報発信機関として、無くなってしまっては困るわけです。だから大手の新聞社は国からの厚い厚い援助を受けているのです。
国有地の払い下げで援助を受けている
今の新聞社の多くは不動産業で食っています。それは朝日新聞に限った話ではありません。
どの新聞社も何らかの形で国有地の払い下げを受け、それに基づいて不動産業をしてなんとかなっているという状況です。
ただこれも先述の通り、コロナの影響により今まで通りいかなくなっているのが実情です。
軽減税率の恩恵
新聞の購入にかかる消費税は8%です。ちょっと違和感ですよね。
食品など生活必需品は消費税8%で据え置きという認識でしたが、はて?新聞は生活必需品でしょうか?別にスマホもインターネットもあるこの時代、新聞がなくて困る!という状況は考えにくいものがあります。
これも「新聞社が発行部数を維持するために8%に据え置かれた」と言われています。消費税が10%に上がったら「購読するのや~めた」となる人が増えてもおかしくありませんからね。
しかも新聞社が新聞販売所に卸売りする際には消費税率10%なんです。これが優遇措置でないならと何なのでしょうか。
再販価格維持制度で守ってもらう
再販価格維持制度とは、独占禁止法上は原則として禁止されている再販売価格の指定を例外的に認める制度のことを指します。
ざっくり言うと、独禁法では製造業者が販売店に対して、小売価格を指定することを禁止しています。この小売価格の指定を例外的に認めるのが再販価格維持制度であり、新聞はその対象となっています。
これで何が起きるかというと、新聞は何年何十年購読しても一切安くなることはないということです。
常識的には長く、多く消費してくれる顧客に対しては何らかのメリットが発生するものですが、新聞に関しては販売店がそうした安値設定することを製造業者が認めないのです。
これも自分達の売上・利益を維持するためだけの都合のいい制度と言えます。
日刊新聞紙法
これが一番エグいんですが、新聞社の株式は「日刊新聞紙法」によって譲渡ができないことになっています。
そもそも売買できるから株式にする意味があるのであって、それを禁止する法律があるというのは本来めちゃくちゃなことなのですが、日本の新聞社はこうした特例で守られています。
これはつまり、新聞社の経営者はほぼ間違いなくクビにならないということです。
本来、経営者がおかしなことをやっていたら株主が怒ってその座を引き摺り下ろせるはずです。
ところが日本の新聞社はそれがない。イコール緊張感がない。
そうやって「何をやっててもいい」という、現状維持だけを追い求める集団が出来上がるのです。
それなのに赤字
朝日新聞はこれだけ守られていながらの大赤字なのです。
一体どれだけ今までの体制に胡坐をかいてきたのでしょうか・・・。
そして苦肉の策として取った手段は値上げ・・・。目も当てられないとはまさにこのことを言うのではないでしょうか。
まとめ
残念ながら(?)これだけの大赤字を出しても朝日新聞社が倒産することはありません。これからも国がその存在を頑なに守っていくことでしょう。
ですが新聞に書いてある内容がいかに稚拙でテキトーか、すでに多くの人が気付きはじめています。
財務省や政治家に忖度しまくった内容の記事、ウソや捏造まみれの記事ばかりでは、新鮮で鋭いネットニュースに置いていかれるばかりでしょう。
ですがこれはもはや自業自得なのです。