欧州スーパーリーグとは?
サッカーの欧州12クラブが「欧州スーパーリーグ(以下ESL)」を創設することに合意したようです。
ESLとは、既存の欧州チャンピオンズリーグに対抗する存在としてアメリカ金融大手のJPモルガンがブチ上げた大規模イベント。
その投資額は40億ユーロ(およそ5,200億円)と言われており、常軌を逸した規模で計画されています。
今や欧州サッカー市場は世界的なビッグビジネスです。単純に観戦チケットの販売だけでなく、グッズ販売や広告収入、そして莫大な放映権料で市場規模は拡大の一途を辿っています。
そこに目をつけたJPモルガンが、新たなフットボールビジネスとして立ち上げようとしているのです。
基本はリーグ戦
どのような形で試合が行われるのでしょうか。ここでESLの仕組みを確認しておきましょう。
ベースは20チームによるリーグ戦です。世界トップレベルの15クラブと、年ごとに異なる5クラブが10チームごと2グループに分かれ、そこでの上位チームが決勝トーナメントに出場できます。
要は各国のリーグ戦とは別に、国境を跨いだリーグ戦が行われるということです。
超メジャークラブばかり
参加を表明しているのはいずれも超ビッグネームばかりです。
- アーセナル
- チェルシー
- リヴァプール
- マンチェスターシティ
- マンチェスターユナイテッド
- トットナム
- ACミラン
- インテルミラノ
- ユヴェントス
- アトレティコマドリード
- バルセロナ
- レアルマドリード
サッカーを知らない人でも聞いたことがあるクラブばかりです。
上記のクラブに加えてあと3クラブも既に参加の意思を表明しているようです。クラブ名は明かされていませんが、超一流クラブであることは間違いないでしょう。
猛反発を食らっている
一見するとチャンピオンズリーグのようにワクワクする対戦カードが毎週見れて幸せ!となりそうですが、実はこの計画、各方面から猛反発を食らっています。
UEFAや国際サッカー連盟(FIFA)、各国リーグは、一企業と一部のクラブだけで決められたこの計画に怒りを露わにしているのです。
主な理由は歴史や伝統、格を重んじるサッカー界の風習にそぐわないという点。そしてあまりに強欲剥き出しな利益目的の計画であるという点。
歴史や伝統については「固いこと言うなよ」と思うかもしれません。
しかしそれがその競技の発祥の地なら?
もし日本の国技である大相撲で、優勝賞金1,000万円をかけた大イベント!各国の有名格闘家が大相撲ルールで対戦!スモ-1グランプリ開催!とかなったらどうでしょう。
それはそれで面白いと思う人もいるでしょうが、大半の人はえぇ…となるはずです。
反対意見も十分理解ができます。
ちなみにこのESL計画には、フットボール発祥の地であるイギリスのジョンソン首相、さらに英国王室からも懸念の声が上がっています。
強烈な「金の匂い」
サッカー界はこのESL計画以外にも「拝金主義」が問題視されています。
それがもっとも顕著なのはW杯出場枠の拡大でしょう。2022年カタール大会までは32ヵ国なのが、2026年には一気に48ヵ国まで増えます。
これについては色々なことが言われていますが、どう考えても金儲けのためでしょう。
W杯に出場する国が増えれば、その国から入ってくるお金も増える…単純な図式です。
W杯出場のボーダーライン上にいる国々は中東に多く、それらの出場が確定的になれば石油産出国である中東各国からのオイルマネー流入も期待できる、という見方もあります。
しかし量の増加は質の低下につながります。
格式高いW杯の試合なのに、強豪国と大して強くない国がマッチメイクされ7-0とか大味なスコアの試合が増えるのは明白です。
そしてこの出場枠拡大を推し進めたのは何を隠そうFIFAです。ESL計画には反対しているFIFAも結局は金儲けしか頭にないというのは悲しい話…。
まあ擁護するならFIFAは収入の95%をW杯に頼っているという現状があるので致し方ない部分もあります。
目的をハッキリさせてほしい
なぜESLが必要なのか、納得のいく説明が欲しいところです。
今のままではチャンピオンズリーグとの違いがあまりなく、存在意義が分かりません。
スポーツビジネスはファンの存在があって初めて成り立つもの。
ファンの気持ちを置き去りにして、利潤だけを追求するスタイルだけは改めてほしいものです。(N)