イケメンは得ですよ、ほんと・・・。のっけから愚痴全開ですみません。
こないだテレビを見ていたら、映画祭か何かの様子が紹介されてて、横浜流星が何かの賞を受賞したらしいんですね。
で、司会者が彼を紹介するときに「俳優の」と言わなければいけないところを言い間違え、「女優の横浜流星さん、壇上へお願いします」と言ってしまったんです。
それに対して登壇した横浜流星は「『女優の』横浜流星です」と自己紹介して会場を沸かしたんですって。
そしたらそのVTR明けに女子アナか何かが「ユーモアたっぷりの横浜流星さん、お笑いのセンスもバッチリです」みたいなコメントをした。いやいや、その程度の返しなら、どっかの結婚式で挨拶する親戚のオッサンでもできるって。
何なら間違えてしまった司会の方のフォローをする、大人として当然の行動だとすら思いますよ。それを笑いのセンスバッチリって・・・。
そこで「ご紹介にあずかりました女優の・・・ってこんなデカイ肩幅の女優さんおりまっかいな!女でこんなガタイしてたら芝居なんてしまへんで、レスリングで金メダル狙いますわ。
ほんでも女優は無理ですけどオカマちゃんの役ならいくらでもやりまっせ!どんどんお仕事くれなはれや!」とか言ったなら、それは笑いのセンスバッチリですけど。
前置きが長くなりましたがこういうのは完全に「補正」ですね。
イケメン補正とか言われますが、普通のことをしただけなのに何かやたら評価される。
今だと恐ろしいのはやはり「マスク補正」です。女性がみんな美人に見える。
でも不思議なのは、家族や会社の同僚など普段から接している女性、つまり素顔を知っている女性は、マスクをしているからと言って美人に見えない。
元が美人じゃないから・・・じゃなくてマスクをしていることで評価が上乗せされることはないんです。だから人間はいかに見えない部分を勝手に都合よく解釈しているかってことです。
マスク美人で言うなら、見えていない鼻や口元、輪郭などを「こうだったらいいな」という希望的観測だけで勝手に想像し、その人の顔としてイメージしてしまっているんです。
脳の補完能力、と言えば聞こえはいいですが、情けない本能というか、男ってやつは・・・って話ですね。
人工知能には種類があって、大別すると様々な情報を総合して自ら考える人工知能と、元々人間が入力しておいたパターンの中から最適と思われるものを選ぶだけの人工知能と、2種類があります。
後者を「人工無脳」と称することがあります。苦情や問合せの電話を入れたときの音声ガイダンス、あれを想像してもらえば分かりやすいと思います。あれは複数のパターンの中から文言を選んでいるだけで、脳で思考しているというわけではない。そのため「無脳」と言われるのです。
さてどうでしょう、「マスク補正」や「イケメン補正」、無脳だと思いませんか?目にしたほんの一部だけを切り取って、
「この人はきっと美人だ」とか「この人は顔も良くてユーモアもあるんだ」とか思ってしまうのは少々浅はかではないかと思います。
大体、芸能人の売り方なんてほとんどこれです。良いところだけを見せる、そうすると勝手に周りはその人の性格や考え方まで素晴らしいと思ってくれる。
「こうだったらいいな」が「きっとこうなんだ」にすり替わってしまうんです。我々は「無脳」ではない。ましてや「人工」でもない。
一個の独立した知能を持つ人間として「思考すること」から逃げずにいたいものです。(N)