東京五輪・サーフィン男子で金メダルを獲得したブラジルのフェレイラ選手が失礼だと批判を浴びています。
問題となったのは、決勝戦で我らが五十嵐カノア選手と対戦した際、まだ試合が終わっていないのに勝利を確信して沖から陸に戻ってきた行為です。
最後の最後まで諦めず波を待つカノア選手を差し置いて早くもチームメイト達とはしゃぐ姿にTwitter上でも
といった非難の声が上がりました。
この記事では、フェレイラ選手がそのような行為に至った理由、そして本当にあの時点で勝ち確定だったのかについて解説していこうと思います。
もくじ
決勝のスコアを改めて確認
決勝・五十嵐カノアvsフェレイラ戦の最終スコアを改めて確認しておきます。
スコア的にはフェレイラが圧倒
イタロ・フェレイラ
ベスト1 : 7.77
ベスト2 : 7.37
記 録 : 15.14
五十嵐カノア
ベスト1 : 3.83
ベスト2 : 2.77
記 録 : 6.60
最終的には10ポイント近い差がついていてスコア的にはフェレイラ選手が圧倒した形です。
満点は10点
時間内に繰り出した技の内容によって採点される競技なので、体操などと同じく満点は10点です。
残したスコアの中のベスト1、2の合計点で順位が決まります。
よって1試合の最高得点は20点ということになります。
フェレイラはなぜ途中で戻った?
まだ試合時間が1分半ほど残っているのに、フェレイラ選手は陸に戻って勝利アピールを始めてしまいました。
コンビネーションスコアという状態
フェレイラ選手が試合途中にもかかわらず陸に戻ったのは「コンビネーションスコア」という状況にカノア選手を追い込んだためです。
これは、
これから繰り出す技で満点(10点)を取っても逆転できない状態
のことを指します。
決勝のタイムラインで見ると
実際の決勝戦のタイムラインで見ると、フェレイラ選手は開始20分で14.77のスコアを持っていました。
その時点でカノア選手が、最終的なベスト1、2のスコアとなった3.83、2.77のいずれを持っていても、10点では追いつくことができません。
コンビネーションスコアに追い込まれたらほぼ勝利はない
このように、残り少ない時間でコンビネーションスコアに追い込まれたらほぼ負けが確定します。
9点台と8点台を二連発!なんてことはほぼ起こり得ないからです。
フェレイラは本当に勝ち確だった?
では陸に戻った時点でフェレイラ選手の勝ちは本当に確定していたのでしょうか。
厳密には確定ではない
どれだけ点差がついても野球のコールドのような強制終了ではないので、勝利が確定するということはありません。
ただし、コンビネーションスコアの状態であったことは事実で、“限りなく勝利に近い状態”だったと言えます。
オリンピックの種目となった、その第一回の金メダリストとして歴史に名を刻めることがほぼ確定したフェレイラ選手が、ついつい浮かれてしまった気持ちも分からなくはありません。
最後まで戦ったカノア選手を讃えたい
ここはフェレイラ選手を非難するのではなく、残されたわずかな可能性に賭け最後まで諦めなかったカノア選手の姿勢を讃えたいと思います。
これぞ大和魂。
アメリカで生まれ、5カ国語を操るというワールドワイドな選手が、日本という国籍を選んで日の丸を背負って戦ってくれたのです。
コロナという荒波に負けず、何事も諦めず頑張らなければいけないということをカノア選手は教えてくれたのではないでしょうか。
まとめ
失礼だ!と批判の的になった、サーフィン・フェレイラ選手の行動について解説してきました。
ルール上、フェレイラ選手は勝ち確ではないもののほぼ勝利を手中に収めていたのは間違いありません。
しかしそんな状況に追い込まれても最後まで戦い続けた五十嵐カノア選手の姿に、我々は教えられることがたくさんあるということがお分かりいただけたと思います。
こういう選手たちの姿を見ると「やっぱりオリンピックは開催して良かった」と思うのです。