めでたく3度目の緊急事態宣言
魅惑の「まん防」から大して経過してもいないのに3度目の緊急事態宣言が出ました。年も明けワクチン接種が開始され、もうあとちょっとの辛抱か・・・と期待した矢先のこの宣言。
日本国中を失意のドン底に落とし入れるには十分すぎる破壊力を持っています。
「もうどうにでもなれや」という人々がたくさん出てきてしまうのではないかと危惧される中、国民の気持ちを少しでも上向かせるためにそろそろ2度目の定額給付金という話が持ち上がってもいいのではないか、そう考える方も多いと思います。
しかしながらこれが一筋縄ではいかない問題でして・・・
国民一律10万円給付のために必要な財源は13兆円
この13兆円の捻出は、実はそれほど大変ではありません。
多くの方が「日本は借金まみれでとてもじゃないが13兆円なんて財源は用意できない」と思っているかもしれません。
しかし実際のところ、国債を発行すればお金自体はすぐにでも用意できます。
この国債は日本銀行が買い取ります。日本銀行はお札を刷って政府に渡すだけ。これは造作もなく可能です。
しかし問題は“タイミング”です。いきなり「はい、10万円配るよー」とはできません。給付するのであれば事前に予算として組み込んでおく必要があります。
では今回の新年度予算に、全国民に対して給付金を配るという項目があるのかというと、残念ながらありません。
つまり現状では「給付の予定はない」ということになります。
これについては菅総理大臣もハッキリと「給付は考えていない」と明言しています。この発言は新年度予算が可決される前のものですが、発表された予算の中に含まれていないということはこの考えに変わりはない、ということです。
ただしこれはあくまで現状の話であって、これからまだまだコロナウイルスの猛威によって状況は変わってくるでしょう。
そうなれば「補正予算」という形で予算を組み直し、給付への流れが生まれる可能性もあります。
とどのつまりが、給付はあくまで「予算があってのもの」ということです。
お金は作れても予算として計上されていない以上、出すことはできないのです。
財布の紐を握っている張本人が・・・
定額給付金については麻生太郎財務相の発言がとにかく取り沙汰されます。その発言を振り返ってみましょう。
2020年10月
「その分が個人の貯金に回っただけだった」
昨年給付された10万円の給付金が、結局は使われることなく貯蓄に回ってしまったというのです。
もちろん全部が全部貯金されたわけではないですが、将来への不安から貯蓄に回した方が多かったのも事実です。
給付金などのバラまき政策は、そのお金が消費に回されないと意味がないんだと言いたいのだと思います。
ですが本当にそうでしょうか?
貯蓄に回ったお金もいつかは消費に回ります。それが明日なのか一年後なのか五年後なのか・・・それは分かりませんが「消費」として世の中に回るお金の価値はいつであろうと変わりません。
貯蓄となったことで10万円の価値が8万円に下がるのならこれは大問題です。使わなければ意味がない!と怒るのも当然です。
でもそうではない。コロナが落ち着いたらそのお金で旅行や買い物をしようと考えている人だって沢山いると思います。
いわゆるお金の「時間割引」に惑わされているだけなのです。
時間割引に関する記事はこちら↓
2021年1月
「後世への借金を増やすのか」
「給付金を出したら日本の借金はさらに増えて未来の人たちがもっと困るぞ!」と言いたいわけです。
ですがこれも実際はそうではない。
「日本の借金」と言われている国債は、ほぼすべてと言っていいぐらいの割合で日本銀行が買い取っています。
もちろんそこに金利は発生しますが、100%が円建てで発行される日本の国債は、償還時の支払いもすべて日本円でいいわけです。これは日本の「円」が世界でも有数の信用度を誇るからこそです。
国債の発行が増えれば当然、利払いも増えていきますが、これもまったく問題なし。日本政府が日本銀行にどれだけ金利を支払っても、日本銀行が得た利益はすべて国庫へ返納されます。
日本銀行は日本政府の完全子会社みたいなものなので、子会社が得た利益は親会社の利益でもあるわけです。これは日銀法によっても定められています。
少し話がズレますが、だからと言って国債を無限に発行できるかというとそうではありません。世間にお金が流れまくればとんでもないインフレになってコーヒー1杯3,000円、とかになってしまいます。
そうなると円の価値と信用度が大きく下がり財政は破綻してしまうのです。
分かっていて言っている
と言っても麻生さんほどの人がそんなことを知らないわけがないので、すべて知った上で上記のような発言をしているわけです。
じゃあ何で分かっててそんなこと言うのか?
答えは簡単。
出したくないからです。
これに尽きます。
財務省がシブチンなのは今に始まったことではありません。給付金に限らずコロナ対策のための臨時予算や予備費は、使われることなく宙に浮いたままになっている部分があります。
コロナのためのお金なのに、それを使わないでやれベッドが足りないだ医療崩壊だと言っているのです。
少々理解に苦しむ面があるのも事実ですが、日本は経済対策をまったく打っていないというわけでは決してありません。
後編では意外と頑張っている日本の対策について解説します。なぜ10万円給付案が持ち上がらないのか・・・それはお金の使い方と何を重視するかによって変わります。(N)
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また?緊急事態宣言はもうウンザリ・・・そろそろ定額給付金のおかわりはいかが?~後編~【WEB限定】21.4.26