見たい、聞きたい、話したい…
ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
2019年発行

「言わなくていいコト」のはなし。2019.1.24.thu

学生時代サッカー小僧だった私が尊敬してやまない存在は、ずっとず~っと「カズ」こと三浦知良選手でした。

そしてこれからもその座は揺るがない、と思っていたのですが、最近それを脅かす存在が現れました。

いや、もしかしたら私の中でその人は、もうカズを超えているかもしれない・・・その選手とは・・・本田圭佑選手です。

って別に私の中のランキングなんてどうでもいいんですが。

近頃、プロサッカー選手の実に38%が「うつ又は不安障害」であるという調査結果が出ました。

世界各国で多くの人々の注目を集め、華々しさが先行するサッカー界。

ですがその分、求められる結果やパフォーマンスの高さにプレッシャーを感じ、精神を病んでしまう選手が相当数いるのも理解できることではあります。

メッシやイニエスタといったスーパースターも、睡眠障害やストレスによる嘔吐などの症状に苦しんだことがあると語っています。

でも―――それって当たり前じゃないでしょうか。別にプロサッカー選手だけがそうしたプレッシャーにさらされるわけではありません。

もちろんただの一般人と比較したらもの凄い注目を集めるわけですからその重圧はケタ違いでしょうが、その分 収入もケタ違いです。

収入がそこまでケタ違いではないであろうJリーグの選手達の場合は、プレーに対する重圧というより将来への不安が大きいようです。

Jリーグでは選手の平均寿命がわずか6年と非常に短く、毎年100人を超える選手が現役引退を余儀なくされています。

そうした安定性の無さに不安を覚え、これまた精神的に追い詰められてしまう選手も多いようですが、それだって好きなことでメシを食う決断をしたのなら当然のことです。

プロサッカー選手として生きると決めたのは自分です。悔しいならプレーで認めさせるしかありません。

そんなことを言ったら、競馬の競走馬は9割が胃潰瘍だという調査結果が出ています。

とても神経質で臆病な生き物である馬は、毎日の調教(トレーニング)やレースの緊張感によるストレスでほとんどが胃潰瘍になってしまうのです。

しかもどんなに苦しくても声を出すことはできない。自分の意志で競走馬になったわけでもない。

おまけにレースの賞金が馬に支払われるわけでもない。報われなさ過ぎです。それに比べたらサッカー選手のそれは甘えでしかないように思えます。

こんな調査結果を発表することに何の意味があったのか謎ですが、本田選手ならおそらくこう言うでしょう。

「そんな風にサッカー選手のことを見る必要はない」と。「同情なんてくだらないことしないで、俺たちのカッコいい部分だけ見てればいい」と。

どんな道を進んでもどんな世界にいても、必ず苦難や困難は訪れます。でもそれはほとんどが自分自身で解決しなければいけない問題ばかりです。

「私こんなに苦しんでます」アピールをしたところで誰も助けてはくれません。

本田選手がスゴイのは、ビッグマウスと揶揄される自らの言動で自らに壁を作り、それをことごとくブチ破ることで結果を出し、サッカー少年達に夢を見せる・・・これぞプロフェッショナルだと思うのです。

サッカー選手の4割がうつや不安障害だということを我々が知ったところで、だからどうしろと言うのでしょう。

そんなことはいちいち言わなくてもいいコトです。

知りたいのは苦難や困難をどう乗り越えるか、その姿勢や考え方であり、その超えるべき壁をわざと自らに課してでもプロたる姿勢を示す本田選手から学べることが、無数にあるのではないかと思うです。

twitterやSNSが発達したことで、愚痴や不満をタラタラ垂れるスポーツ選手や芸能人をよく見ます。

そんな時代だからこそ、必要以上に語らない人(又は馬)から学ぶべきことが大いにあることに気付きましょう。以上、サッカー小僧からただの競馬野郎に成り下がった(N)でした。