日本中が驚き、そして悲しみに暮れた上島竜兵さんの逝去。
そのニュースはまさに青天の霹靂と言うに相応しく、なぜ上島さんが自ら命を絶つという選択に至ったのか…ネット上でも数々の議論を呼んでいます。
そんな中、上島さんが生前、コロナ禍による自分たちの活動制限についてかなり悩んでいる発言を繰り返していたことが分かってきました。
Twitterなどでも…
- 竜ちゃんの芸風はコロナ禍ではキツいよな
- 気の毒なぐらい不自由になってた
- これだけ制限されたらそりゃ病むわ
などの声が挙がっています。
この記事では、上島さんが生前繰り返していた、コロナ禍でのリアクション芸やギャグ制限に対する不満発言をまとめてみようと思います。
もくじ
上島さんコロナ禍での制限に対する世間の声
世間の方の多くが触れている通り、やはりその制限が上島さん及びダチョウ倶楽部の芸風に多大な影響を与えていたことは間違いないでしょう。
実際の制限の内容
上島さんの発言をご紹介する前に、実際にダチョウ倶楽部のリアクション芸やギャグにどのような制限がかけられていたのかを振り返ってみましょう。
制限①ケンカの後のキスにアクリル板
上島さんの持ちギャグの中でも最も相手との密接具合が高いのはこれでしょう。
相手と睨み合いながら言い合いや罵り合いをし、興奮して顔を近づけていってなぜか最後にキスをする…
実にくだらない流れですが、これで笑ってしまった人は日本中にたくさんいらっしゃるでしょう。
実際の動画↓
しかし、コロナ禍では相手とのソーシャルディスタンスの観点から、まずもって近い距離で睨み合うことからできません。
さらに「キス」ともなるとこれはもう絶対に不可能。
苦肉の策としてキスの瞬間、間にアクリル板を挟むという「制限」を設けましたが、やはり芸としての切れ味が半減するのは確実です。
制限②熱湯風呂でマスク
上島さんのリアクション芸の中でも特に有名なのが熱湯風呂です。
「押すなよ、押すなよ」が実は「押せよ」という意味であることは、もはや一般人の会話の中ですら冗談として通用するまでになりました。
実際の動画↓
これも他の演者を巻き込んで大人数が密集して行われる芸であるため当然「制限」の対象になりますし、リアクションとしての大声もリスクになります。
また、実際に押す際はもちろん直に触れるのでこれも問題視されるでしょう。
対策として「マスクをして熱湯風呂」ということを実施したらしいのですが…非常にやり辛かったであろうことは容易に想像できます。
制限③熱々おでんをパイプで
熱湯風呂と並んでダチョウ倶楽部のお家芸だったのが熱々おでんです。
実際の動画↓
これも3人が接近して行われる点や、一度口に入れたおでんを相手めがけて吹き出す点は大いにリスクとなるでしょう。
この対策として、パイプ状の筒を上島さんが加えて、そこにおでんを流し込むという方法を取ったそうです。
しかしそうなると、もはや何をやっているのか分からない、見た目には何か違う芸のようになってしまいます。
演者としてはさぞかしキツかったでしょうね…。
上島さんの制限に対する不満発言まとめ
それではここから、上島さんの発言に触れていこうと思います。
上で述べたような数々の「制限」のおかげで、ダチョウ倶楽部は非常に仕事がし辛く、面白さも半減してしまったことは疑いようがありません。
そんな苦しい状況の中で、上島さんはどのような発言をされていたのでしょうか。
「商売あがったりだよ!」
上島さんが亡くなるほんの少し前、4月25日に都内で開催された「エリエール『えがおにタッチ PROJECT』発表会」にダチョウ倶楽部の3人が出演。
その際、コロナ禍での様々な行動制限に対して怒りをぶちまけていました。
コロナ禍での仕事の変化について上島さんは
「ケンカしてもキスができないし、熱湯風呂での押すなよも近づけないので、さすまたで押されたこともあった。商売あがったりだよ!」
と発言。
自慢の芸に対する制限に対して、かなり不満を抱えていることが伺えます。
加えて、
「ある日リーダーが『(熱湯風呂を)マスクをしてやれば大丈夫だ』っていうことで、やったんです。(マスクが)張り付いて死ぬかと思いました」
「死ぬかと思った」ではなくて本当に死んでしまうなんて…このときは誰が予想したでしょう。
この発言からは、完全に自らの商売道具を封印された状況を何とか笑いに変えようという悲壮感が漂います。
「冷静に離れてやると面白くない」
同イベントではこんな不満発言も…
「ダチョウ俱楽部のネタは、ギャグもくっついてやるし、声を張る芸が多いから密なんです。でも、冷静に離れてやるとおでん芸も熱湯風呂も面白くないのがバレるんだよ(笑)。
コロナ禍で新ネタとして、キス芸を実際にキスをするのではなく、投げキッスに変えたが、あんまり伝わらず、面白くないのでほとんどやっていない(笑)」
とも話しています。
芸を制限されるばかりか、その面白さまでも奪われてしまうのは、芸人にとってどれほどのストレスだったでしょう。
茶化した発言にしていますが、人一倍真面目な上島さんのこと。芸人として面白くないという状況下で、きっと並々ならぬ不安や葛藤と戦っていたのだと思います。
「これは死活問題です」
上島さんのコロナ禍での制限についての発言は、ここ最近に始まったことではありません。
2020年4月12日に放送されたラジオ番組『土田晃之 日曜のへそ』にゲスト出演した上島さんは、
「仮になにかに出してもらったとしても、俺、けんかしてチューができないしね。これは死活問題ですよ」
と語っています。
このとき既にケンカからのキス芸に対して言及しています。
しかも「死活問題」と言っている辺り、今にして思えば本当に深刻な悩みだったのではないかと思います。
さらに
「熱湯風呂だって、おぼれてピュッピュって水吐くのできないよ」
とも話し、ダチョウ倶楽部の芸への制限が尋常でなかったことを覗かせます。
竜兵会に関しても…
そんな上島さんの心の拠り所でもあった「竜兵会」について触れた発言もありました。
コロナ禍でいわるゆ飲み会が開催できなくなりリモート飲み会などに変化。それに関して、
「生意気にもやったんですけど、だんだん後輩が『めんどくさい』って嫌がっちゃって…」
と寂しげに語っていました。
せめて竜兵会で、後輩たちに先ほどのような不満や愚痴をこぼせていたら…
上島さんがここまで追い詰められることはもしかしたらなかったのかもしれません。
ダチョウ倶楽部が自由に活動できるときこそ…
このように、ダチョウ倶楽部の芸に対する制限や上島さんの発言を振り返ると
ダチョウ倶楽部が自由に活動できるようになったときこそ、真のコロナ収束だ
と言えたと思います。
しかし、3人揃ってそのときを迎えることはもう永遠にできません。
本当に本当に、惜しい存在を失くしたと思います。
上島竜兵の不満発言、十分に自殺の理由となり得る深刻なものだった
自ら命を絶った上島竜兵さん。
コロナ禍で彼らに課せられた様々な制限に対する悩み・不満発言を振り返ってきました。
キス、熱湯風呂、熱々おでん…
彼らの代名詞とも言える素晴らしい芸の数々には、コロナ禍で尋常でないほどの制限がかけられていたことがお分かりいただけたと思います。
と同時に、上島さん本人も相当な不満やストレスを抱えていたことが伺えます。それは「自殺」という最悪の結果につながる原因になっていたとしても不思議はありません。
芸人は芸を封じられたら死んだも同然…
真面目で一生懸命な上島さんは、そんな苦しい思いをずっと抱いていたのではないでしょうか。
今はただ、稀代の天才リアクション芸人のご冥福を祈ることしかできません。
合掌。