見たい、聞きたい、話したい…
ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
2016年発行

「メメント・モリ」のはなし。2016.11.17thu

「僕は死を忘れるために働き、死を忘れるために全力疾走し、死を打ち消すために生を充実させていたのだ」―――堀江貴文

「そもそも僕の中では『人間いつ死ぬかもわからない』という想いが常にあります。大げさな意味ではなく、死というものを常に意識していて、だからこそスピード感にはすごくこだわりたい」―――本田圭佑

「オレはいつ死ぬかわからないし、見ている人もいつ死ぬかわからない。視聴者が最後に見た江頭が、手抜きの江頭だったら申し訳ないだろ?」―――江頭2:50

何だかエガちゃんが一番カッコいい!!偉大(?)な日本人たちは「死」について思うところが深いようです。

「恐怖管理理論」というものがあります。人間は死をほのめかされると、その恐怖に対処する必要性が生じます。

その結果、作業や仕事により熱心に取り組むことが多くの研究から分かっています。

これに関連したある実験が行われました。被験者を2つのグループに分け、バスケットの試合をさせます。

そして一方のグループにだけ、試合後に「死」に関するアンケートを書かせます。

そして再び再試合をさせると、アンケートに答えた被験者は、アンケートに答えていない被験者と比較して、2回目の試合でのパフォーマンスがおよそ40%も上昇したのです。

そしてもう1つの実験では、バスケットのシュート練習の指導をするとき、一方のチームのコーチにはドクロマークのついたTシャツを、もう一方のチームのコーチには普通のTシャツを着てもらいます。するとドクロTシャツコーチに指導されたチームのシュート成功率は、もう一方のチームよりおよそ30%も上昇しました。

「死」が少しでも身近に感じられると、人間はパフォーマンスを向上させるのです。

スティーブ・ジョブズのあの「名言」をご存知でしょうか。

―――現在に至るまで33年間、私は毎朝鏡を見て自分にこう問い掛けるのを日課としてきました。

「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」

―――これはジョブズがスタンフォード大学の卒業生たちに語った言葉で、彼の発言の中でも特に広く知られています。

これもまた、自らに「人生最後」というプレッシャーをかけることで、自身のパフォーマンス向上を狙っていると言えます。

メメント・モリ(memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句です。

「死」という超ネガティブな要素を、思考によって自分のプラスにしてしまいましょう!・・・って、何だか怪しいお説教じみてきましたね。

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