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ここにはそれがある。
あした使えるはなしのたね
2020年発行

「無意識と意識」のはなし。2020.01.30.thu

長年に渡って悩んできたことがあります。

呼吸の仕方についてです。皆さんも一度、やってみてください。

簡単に同じ悩みを共有することができると思います。まず、意識して息を吸ってください。

そして吐いてください。そのまま止まってください。

はい、次の空気、吸おうと思わないと入って来なくないですか?とりあえず吸わないと苦しいので吸います。吐きます。

ほら、次の空気も、吸おうと思わないと入って来ない!呼吸できない!意識しないと!

あれ?あれ?俺って今までどうやって呼吸してたんだ!このまま常に意識しないと呼吸できない体になっちまったのか?

これはヤバい、ヤバい…という悩みに襲われたのが小学5年生のときでした。以来、事あるごとに呼吸の仕方を忘れてしまう、というのが悩みなのです。

でも、おかしいですよね。だって私は生きている。ということは呼吸をしている。

ずっと「呼吸をしなきゃ、呼吸をしなきゃ」と思っているわけではないのに、「無意識に」ちゃんと呼吸をしている―――これは呼吸方法が無意識下でも行われるように、しっかりと身に付いているということです。

人間はほとんどの行動を無意識に行っています。究極の話をすれば、心臓を動かすことだって無意識です。

心臓も心臓の力だけで動いているわけではありません。脳からの指令で動いているのであり、それは「心臓を動かそう」と意識して動かしているわけではありません。

モノが飛んできたら瞬間的に避けたり手で防いだりするのも無意識です。無意識はとにかく瞬間行動ができます。

スポーツ選手が嫌というくらい練習を重ねるのは、練習通りの動きをしっかりと身につけて、無意識にベストパフォーマンスを発揮できるようになるためです。

プロになるようなスポーツ選手の技量なんて、基本的には超ハイレベルでみんな安定しているはずです。

それでも成績や結果にものすごい差が生まれるのは、無意識に行われる瞬間行動でどれだけのパフォーマンスが出せるか、瞬間的にいかに練習通りの動きができるか、が大きなウェイトを占めるのです。

逆に、「意識」できることは非常に限られます。常に意識しながら呼吸をして、手足を動かして、仕事をこなして、車を運転して、なんていうことは不可能です。

人は無意識に頼るしかない。そして無意識が人の行動のほとんどを司っている以上、無意識に行われていることが人生を決定づける、と言っても過言ではないわけです。

では「意識」の役割は何なのか?「意識」の役割は、「無意識」に良いことができるようにすることです。

「無意識」の行動が自分にとってベストになるよう、日々の行動を選択していくことです。そしてそれを繰り返し、いつしか無意識下でその行動がされるようになれば、生活のほとんどが自分にとってベストな状態になる・・・そうなったらもう最強です。

よく「○○を意識して行動しています」と成功の秘訣を語る人がいますが、意識しないとできないようではまだ身に付いたと言えません。

呼吸をするぐらい自然に、ベストな行動ができるようになるのが理想なのです。小学5年生の俺よ、なかなかいいところに気付いたな。さすがだ。自画自賛するのは、呼吸をするぐらい自然にできる(N)なのでした。